地域と人口減少の経済学

首都圏への人口集中。地方も人口減少が止まらない。しかし、地方で実施される人口増加政策が成功することは難しい。そもそも国全体の人口が減少している中、地方間で競争しても、結局は限られた資源を奪い合うだけで、一方がよければ、一方が悪くなる。それ…

住む権利とマイノリティ

住宅セーフティネット法の正式名称は「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」という。この法律で「住宅確保要配慮者」は、法律や省令等で定められているが、こうした列記する方式では、真に住宅に困窮する人々を網羅できていないと、…

マンション管理の現場から

先週の土曜日に、都市住宅学会中部支部の講演会があり、参加した。講師は、マンションみらい研究所所長の久保依子さん。マンション管理を手掛ける大和ライフネクスト(株)の社内組織であり、多くの管理実績を踏まえ、いろいろと具体的な話を聞くことができた。…

新たな住生活基本計画(全国計画)を読む

今年3月末に、新たな住生活基本計画(全国計画)が閣議決定された。大学の講義でも紹介していることなので、さっそくその内容を確認した。住生活基本法が制定されて早や20年。今回で第5期になるが、以前の住宅建設五箇年計画のように、第○期のようには呼ばな…

世界のすまい6000年 ①先都市時代の住居

「世界住居誌」の中で、本書が紹介されている。いや、その前から本書のことは知っていたように思うが、実はこれまで読んだことがなかった。「建築の絵本」というタイトルが付いているので、本当に絵本かと思ったら、確かに筆者の手によるペン画は豊富だが、…

住宅セーフティネットとまちづくり

今月頭の3月1日に、日本建築学会東海支部都市計画委員会主催で「住宅セーフティネット」に関する講演会があった。講演者は、東大の大月敏雄先生と、NPO法人LivEQuality HUB代表理事の岡本拓也さん。大月先生は、1月の高蔵寺ニュータウンに関する講演会でも基…

郊外戸建住宅地 次世代につなぐ戦略☆

ニュータウンではなく、その後の2000年にかけて多く開発された、特に民間開発による郊外戸建住宅地。その問題と対応策について、特に「次世代につなぐ」という観点から、具体的な戦略を提案する。 ①空き家・空き地問題とその予防戦略、②豊かな緑を維持創出す…

高蔵寺ニュータウンの継承・再生のミライを考える

先々週の12日、名古屋ナディアパークのデザインホールで、高蔵寺ニュータウンの構想・計画を先導した津端修一の生誕百年記念事業として、高蔵寺ニュータウンの計画を振り返り、今後について考えるフォーラムと展示会が開催された。フォーラムは、午前中に、…

これからの建築入門

「ジュニア新書」といっても侮りがたい、という期待をもって読み始めたが、やはり中高生向けだった。それでも、第1章「カッコイイだけじゃない建築の話」で、「カッコイイ建築の話」から始めて、建築学や設計・施工の実務など、幅広い建築の世界を紹介し、第…

画文でわかる 構造の美、建築の美☆

佐々木睦郎氏は、愛知県東栄町の生まれで、名古屋大学を卒業し、一時は同大学教授として教鞭を執っている。また、昨年5月には、東栄町で佐々木氏を招いての講演が開催された。主催者である阿部先生から案内はいただいていたのだが、個人的な事情があり、参加…

まちは言葉でできている☆

「まちは言葉でできている」ってどういう意味だろう。タイトルを見てそう思った。筆者はまちづくりの専門家。社会に出て初めて担当した現場が、新宿東口の「モア4番街」。そこで感じた違和感に続いて、神宮外苑の再開発が批判的に語られる。そこまで読んでよ…

世界1万年の住宅の歴史

紀元前8000年から21世紀まで、ブッシュマンの移動式草葦住宅から蟻鱒鳶ルまで、全部で107の住まいが、見開きの左に写真、右に解説とイラストという構成で最後まで続く。解説文を書いているのは、菊地尊也。と言っても、初めて知る名前だが、東北大学で五十嵐…

誰のために 何のために 建築をつくるのか

先頃、愛知県でIGアリーナがオープンした。外観デザインを隈研吾が担当したというのだが、角柱を取ってつけたようなあの外観は何だろう。何を意図してあのデザインになったのか。そもそも外観デザインだけ担当するという隈氏の意図がわからない。伊東豊雄で…

建築と利他

堀部安嗣という建築家は、名前は知っていたが、代表作が何かと聞かれたらわからない。一方、中島岳志は政治学者という認識。ただ、この本を手に取って、「利他」というテーマで何冊か本を執筆し、またいろいろな人と対談をしていることを知った、 それで、本…

2030年の不動産

住宅インスペクションや空き家問題などについて、かなり初期の時点で声を上げてきた筆者だが、本を読むのは「『空き家』が蝕む日本」以来、ほぼ10年ぶり。2030年と言えば、先のようでわずか5年後。どんな提言が聞かれるかと期待して読み始めたのだが・・・。…

かかわりの循環

先に読んだ「新・地域の社会学」の中で、この本が引用されていた。筆者の松宮氏は、たぶん一度拝見したことがあるような気がするし、何より「都市住宅学会」に寄稿した、県営住宅における外国人問題に関する論考は、学生のレポート課題として提示したことが…

新・地域の社会学

前著の「地域の社会学」は2008年に発行されており、内容も改めてということで、本書が発行されたとのこと。ただし、第Ⅰ部「地域を考える」は旧版と大きくは変わらず、具体的なテーマに沿った論考を進める第Ⅱ部「地域を見る」のみが新しい執筆者を迎え、それ…

新・空き家問題

先に読んだ「家が買えない」と同じ牧野知弘氏の著作。前書はもっぱら、タワマンが金融資産として投機の対象となっている実態を指摘しつつ、実需としては街の将来性などを見極めることが重要といった内容だった。本書では、タイトルのとおり、空き家に焦点を…

スマートシティはなぜ失敗するのか

タイトルを見た時に、トヨタ自動車が裾野町で開発している「ウーブンシティ」を思い浮かべた。ウーブンシティは成功するだろうか? もちろん個人的には、ウーブンシティに対して否定的な思いを抱いているわけだが、ではなぜ失敗すると思うのか。本書を読めば…

家が買えない

湾岸地域など、首都圏のタワマン価格の高騰は異常だ。首都圏では、中古物件も異常なほどの価格になっている。タワマンの波は地方都市にも及んで、地方でも億単位のタワマンの販売も珍しくなくなってきた。いったいこの状況はいつまで続くのか。不動産業界で…

人口減少時代の都市・インフラ整備論

久し振りに本格的な専門書を読んだ。人口減少時代に入り、都市・インフラ整備はどう考えればいいのか。饗庭伸は、空き地の活用という視点から方策を考えるが、もっと大局的に、そもそも、人口減少時代の都市・インフラ整備はいかにすればよいのか。本書では…

南海トラフ地震は起きない☆

一昨年読んだ「南海トラフ地震の真実」は、南海トラフ地震の発生確率が室津港の不確実なデータを採用して水増しされたものであることを指摘する内容だった。本書は、そもそも南海トラフ地震の発生原理とされているプレート説を否定するものだ。そもそも大陸…

2030年-2040年 日本の土地と住宅

「人口減少時代の再開発」の中で、野澤先生が特別寄稿を寄せ、再開発事業の「公共性」について再考を促していた。本書は、近年急速に進む地価・住宅価格の上昇について、首都圏を中心にその実態をレポートしつつ、なぜここまで高騰しているのか、なぜここま…

住まいは人権

大学の講義で、ハビタットについて説明しようとした。しかしイスタンブール宣言にしろ、最新のキト宣言にしろ、その内容はけっしてわかりやすくはない。そこでネットを見ていたら、ハビタットによる住宅の7条件を見つけた。下に引用した内容だが、この原典を…

人口減少時代の再開発

人口減少局面に入って久しい日本。にも関わらず、相変わらず全国で再開発事業が進められている。私の住む街でも、駅前広場の再整備について、いったん決定した整備案が、住民意見等が提出される中で、見直しが行われた。一方、隣々駅前では、1階がコンビニ、…

大家と居住者の共生ものがたり

コーポラティブハウスについては、大学の講義の中でも取り上げて説明をしている。だが、一時のブームは去り、今や名古屋圏で事例を聞くことは少ない。居住者が計画段階から協働して住まいづくりを進めること。その理念は良しとして、実現することは難しい。…

実家じまい終わらせました!

昨年末に、中日新聞で、この本を題材にした連載記事が掲載された。学生のレポート課題にするにはいいかと思い、感想などを書いてもらうことにした。しかし、自分自身が元となった本を読んでいないのはまずいだろうと思い、さっそく読んでみた。 松本明子の実…

商店街の復権

広井良典が商店街の本?というので、どんな内容かと思ったら、広井自身は総論にあたる第1章のみで、第2章以降はさまざまな経歴の筆者が分担して書いていた。執筆者には、経産省の役人もいれば、日本商工会議所職員、京都府商店街創生センター職員、東京R不動…

オールドニュータウンを活かす!☆

筆者の三好庸隆氏は、市浦都市開発建築コンサルタンツでいくつかのニュータウンの整備計画に従事した後、独立し、現在は武庫川女子大で教授を務めている。この間、明舞団地の再生コンペで最優秀賞を受賞するなど、もっぱら関西のニュータウンを中心に研究等…

都市を学ぶ人のためのキーワード事典

饗庭伸の名前があったので思わず借りてしまったが、饗庭氏は「まえがき」と各扉ページの小文を書いているのみで、他は、24のテーマごとに若い研究者等が、そのテーマに関するキーワードを10程度選出し、それぞれ定義や関連事項等を書いている。24のテーマは…