2011-01-01から1年間の記事一覧

都市計画の世界史

娘に「都市計画の本がない?」と聞かれて、学生時代、日笠端先生の「都市計画」を教科書として使ったことを思い出した。が、今となってはどこにあるのかわからない。結局、この本を図書館で借りてきてレポートを提出したらしい。返却が年明けになっていたの…

公営・URにおける外国人居住問題

都市住宅学会中部支部公共住宅部会で、法政大学兼任講師・NPO法人かながわ外国人すまいサポートセンター理事の稲葉佳子さんから公営・URにおける外国人居住問題について話を伺った。先生は新宿区新大久保をフィールドに外国人居住問題について研究を重ねてき…

水都・大垣と桑名・六華苑

妻と二人の日帰り旅行で、大垣と桑名の六華苑に行ってきました。大垣・水門川の景観と、そして大垣城に寄りました。 大垣水門川、船町港跡前の広場では、「奥の細道むすびの地記念館」の整備中でした。平成24年春開館予定だそうです。市街はクルマで回りまし…

植民地建築紀行

著者の西澤氏とは一度プライベートでお会いしたことがある。当時は植民地建築の研究を主にしていることも知らなかったが、それを知った以降もなかなか著者の本を手に取る気がしなかった。それはもちろん日本が植民地支配をしていた時代、支配のための建築物…

ジェイコブズ対モーゼス

「アメリカ大都市の死と生」でこれまでの都市計画を批判し、住民主体による既存の環境を生かした都市再生を説いたジェイン・ジェイコブズ。本書の誕生のきっかけとなったのは、ニューヨークの都市行政官として君臨したロバート・モーゼスとの下町の都市改造…

フジモリ式建築入門

「フジモリ式」とあるように藤森照信ならではの建築史観が疾走。独特の語り口で数十万年前のアフリカの原野に作られた火を囲んだ野営から、ヨーロッパの新古典主義、歴史主義まで、日本の書院造、茶室、数寄屋造までを一気に語り尽くす。 「建築は“人々の記…

災害の住宅誌

●災害に見舞われた人々は「生活拠点」を移動せざるを得ない。災害に見舞われれば移動するのだ、ということを予め建築のプログラムの中に組み込んでおけば、災害後に移動することを当然のこととして受け入れることができる。その場合、「持家」というシステム…

建築少年たちの夢

団塊の世代生まれの建築評論家・布野修司が同年代からやや上の年代の日本の建築界をリードしてきた建築家9名を取り上げ、彼らとの交流を振り返りながら、その足跡と建築論等を紹介する。取り上げる建築家は、安藤忠雄、藤森照信、伊東豊雄、山本理顕、石山修…

エイジング・イン・プレイス(地域居住)と高齢者住宅

改正高齢者住まい法が施行され、10月20日からサービス高齢者向け住宅の登録が始められようとしている。高専賃や高円賃の登録制度も整理され、日本の高齢者住宅を巡る状況が大きく変わろうとしている。 本書は、エイジング・イン・プレイス(地域居住)と高齢…

日本の建築遺産12選

ヴィジュアル入門書「とんぼの本」シリーズの1冊。「語りなおし日本建築史」の副題のとおり、磯崎新が日本の建築遺産を12選定し、それをもって日本建築史を語りなおす。常に外国から新たな建築技術や様式を導入しながら、独自の変形「和様化」を図ってきた日…

高蔵寺ニュータウンの未来像

(社)都市住宅学会中部支部住宅再生部会が主催して、「高蔵寺ニュータウンの未来像」と題するシンポジウムが開催された。冒頭、椙山女学園大学の村上先生からあいさつを兼ねて、多摩・千里と比較しつつ高蔵寺ニュータウンの概略説明があった後、基調講演とし…

サンコート砂田橋とジョイフル砂田橋

サンコート砂田橋は、愛知県住宅供給公社が昭和30年前後に建設された公社住宅の建替えとして進めてきた事業だが、今年の春にジョイフル砂田橋という住宅・福祉複合施設がオープンし、10年以上かけて進められてきた住宅団地再生プロジェクトがようやく完成し…

小布施と松代のまちなみ

志賀高原から南下して、奥山田温泉に宿泊した。秘湯の宿「満山荘」は温泉もさることながら、料理が絶品。日に何度も温泉に入り、のんびりとした1日を過ごした。その帰り道、小布施と松代に寄ってきた。 小布施は8年前、夏の志賀高原の帰りに家族で歩いたこと…

介護支援住宅モデルハウス見学

先日、トヨタホームのスマートハウスを見学したのに続いて、今度はイワクラゴールデンホームの介護支援住宅モデルハウスを見学してきた。瀬戸市やまて坂のUR開発団地内の一画43戸の分譲住宅のうち、1戸を介護支援住宅モデルハウスとして公開しているもので、…

五一C白書

娘の学校の宿題で本書のまとめレポートの提出があった。提出後、本書を借りて読んでみた。「51C」は言わずと知れた1951年度公営住宅設計標準で、その後の集合住宅におけるダイニングキッチンの導入や間取り計画に大きな影響を及ぼしたとされる。著者の鈴木成…

トヨタホームのスマートハウス

高校時代の友人がトヨタホームの役員に就任した縁もあって、トヨタホームが豊田市で実施している実証実験住宅を見学する機会を得た。経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証」の採択地区の一つとして、豊田市を中心に関連企業等で実施する「低炭…

富山ライトレールと岩瀬大町

一昨年のGWに富山・岩瀬に行った。この時は家族旅行で前日、砺波のチュッリップ公園に行って、高岡でお堀巡りの船で遊び、山町筋・金屋町の町並みを歩いた。さらに立山黒部アルペンルートに登る前の午前早い時間に岩瀬の町並みを慌ただしく歩いた。 今回は富…

東京・谷中ふたたび

東京谷中へは10数年前から何度も訪れている。きっかけはニフティのFCITY。そのコアメンバーの一人であった西河さんの案内で、谷中学校とその活動などを案内してもらった。その後も東京へ行く機会があるとふらっと訪れていたが、最近は上京の機会も少なく、し…

これからの日本のために「シェア」の話をしよう

最初、書店でこの本を見かけたとき、「今さらシェアの話なんて」と思った。確かに時代は「シェア」の方向に向かっている。三浦展が「シェア」についてどう考えているのか確認しようと図書館で借りて読んだ。 大きな驚きはない。まさに時代は「シェア」に向か…

新たな担い手たちが共に創り育てるまち

6月8日に開催された「あいちまちづくりシンポジウム」は、「新たな担い手たちが共に創り育てるまち」をテーマに、地域住民が主体となったまちづくりを実践している名古屋学院大学の水野教授と、NPO法人岡崎まち育てセンター・りた事務局長の三矢氏が講師とな…

国・地方・政治家の役割 復興の進め方を考える

土曜日に放送されたNHKスペシャル「シリーズ東日本大震災 第1部 復興はなぜ進まないのか ~被災地からの報告~」を少しずつ見ていっている。ようやくながら宮城県では復興への模索が始まったことが報告されていた。その中で、「国の復興方針が示されないので…

シンポジウム「東日本大震災から学ぶ」

6月11日に名古屋大学で震災関連シンポジウム「東日本大震災から学ぶ」が開催された。一般市民向けの無料公開シンポジウムということで、妻と一緒に参加してきた。濱口総長、佐分副総長の開会・閉会の挨拶に挟まれて、専門の異なる7名の先生方から様々な報告…

2100年、人口3分の1の日本

タイトルを見て、もっとおちゃらけた本ではないかと思っていた。しかし読んでみると非常に示唆に富む内容のものである。今のままの推計では、2100年には日本の人口は1/3になる、というのは本当である。だからこそ、東日本大震災の復興についても、この人口減…

東日本大震災と住宅の耐震化

4月以降、忙しい毎日が続き、なかなか落ち着いてブログを書いている時間が持てない。3月11日に地震が発生して以来、はや3ヶ月が過ぎようとしている。最初のうちはガソリン不足などもあり、現地に近付くことすら難しい状況だったが、最近は専門家からの調査報…

高齢者は住み替えねばいけないのか

立命館大学の大垣先生が中心となり、主に郊外住宅地の持家に居住する高齢者を対象に、その住宅を借り上げ、若年世帯に転貸しつつ、高齢者に移住先を紹介する住み替え支援事業が始まったのはいつのことだったか。2006年には、「一般公益法人 移住・住みかえ支…

桑名市赤須賀のまちづくりと水郷景観

桜まっさかりの桑名市へ行ってきた。建築学会東海支部都市計画委員会恒例の春の交流会。桑名市へは2002年9月に中心市街地を歩いたことがあるけれど、それ以来の実に9年ぶりの訪問。当時は中心市街地活性化計画を中心に話を伺い、見学は駅前の再開発や寺町通…

人口減少時代の災害救援と復興計画

仮設住宅の建設が難航している。適当な用地がない、資材が入らない、労働者が確保できないなど、その原因は次第に変化してきている。厚労省の仮設住宅建設に係る補助額は戸当たり250万円程度だが、聞くところによると、今回は寒冷地仕様のための断熱材やエア…

津波災害

今回の津波災害が発生する直前の昨年12月に発行されている。その時に読んでおけば、今回の津波に対しても正しい理解をもって臨めただろうと思う。筆者の河田惠昭氏は、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長を務め、防災と危機管理、そして海岸・水環…

日本人と不動産

不動産の所有・利用等に関する経済や規制、歴史などを総括的に説明する入門書。「なぜ土地に執着するのか」という副題や、各章のタイトル「日本の街は、なぜ汚いのか」「土地所有のルーツを探る」は、誇大広告気味。だが、入門書としては非常に丁寧でわかり…

スラムの惑星

建築雑誌2011年1月号は「スラムの未来」を特集。この中でこの「スラムの惑星」を紹介していた。訳者の一人、篠原雅武氏も加わった座談会も掲載されている。これで興味を持って本書を読み出した。 翻訳書だからか、かなり読みにくい。多くの文献からスラム関係…