2013-01-01から1年間の記事一覧

消費税増税駆け込み完了検査への対応準備は大丈夫?

住宅業界は消費税増税後のすまい給付金が10月1日に閣議決定され、駆け込み建設もようやく収まってきた感じだが、それでも今年上半期の住宅建設戸数はけっこうすごいことになっている。11月29日に公表された最新の建築着工統計調査報告によれば、今年度上半期…

準備運動が不十分な者は懲戒処分!?

建築士会連合会の機関紙「建築士」に、国土交通省からの「建築士の定期講習未受講者に対する懲戒処分について」と題する「お知らせ」が掲載されていてびっくりした。日本建築士事務所協会連合会のHPにも同じ文章が掲載されているので、建築士関係の団体に周…

一家に一台、車椅子! 人にやさしい街づくりセミナーin田原に参加して思ったこと

先日土曜日に田原市で開催された「人にやさしい街づくり地域セミナー『出掛けたくなる街in田原』」に参加した。当日は冒頭の挨拶や説明の後、参加者が6つのグループに分かれて、それぞれ別々に定められたコースに従って街に出掛け、課題や改善点等を点検する…

高齢期の住まいと地域包括ケア

(公社)都市住宅学会中部支部主催の講演会に行ってきた。講師は日本社会事業大学専門職大学院准教授の井上由起子さん。先生は建設会社勤務等を経て、旧国立医療・病院管理研究所、国立保健医療科学院に在籍。2012年より現在の大学院に所属している。厚生労働…

住宅セーフティネットの実態と論点

「住宅政策のどこが問題か」や「都市の条件」などの著作がある神戸大の平山教授に名古屋までお越しいただき、「住宅セーフティネットの実態と論点」と題して講演をしていただいた。約1時間、先生からお話をいただき、残りの1時間で意見交換をしたという感じ。…

公営住宅は必要管理戸数ではなく年間募集戸数を重視すべき

公営住宅に関わる仕事をしていると、「いったい公営住宅は何戸必要なんだ」と聞かれることがよくある。若い頃には、「収入基準が所得階層の下から1/3(当時)で設定されているから、総戸数の1/3ですよ」なんて答えていたが、現実には5%位しかないか…

居場所としての住まい

筆者の小林秀樹と言えば、つくば方式定期借地権住宅で有名だが、「ナワバリ学」と言われると、「何それ?」と思ってしまう。しかし、「あとがき」によれば、そもそも大学院生時代の研究テーマは家族のナワバリの研究だったそうだ。現在の千葉大に赴任後、再…

自治体のエネルギー戦略

東京都庁の大野氏の著作ということで気になっていた。前に岩波新書から発行された「都市開発を考える」は今でも自宅の本棚に置かれている好著の一つだ。あれから20年余。大野氏は東京都庁で約15年前にそれまでの都市行政から環境行政部署へと異動され、東京…

愛知見守り大家さんの実態について

公益社団法人愛知共同住宅協会は名古屋・豊田地域で賃貸住宅経営を行っている事業者が集まり、昭和52年に設立された団体だ。全国連合組織である公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会の下部組織でもあり、同種の地域組織としては、公益社団法人東京共同…

あいちトリエンナーレ2013 オープンアーキテクチャー「愛知産業大学言語・情報共育センター」

あいちトリエンナーレ2013が8月10日から始まった。2回目となる今回は芸術監督に建築批評家の五十嵐太郎氏を迎え、アート作品としての建築物への注目度が高い。そんな意向を受けたイベントの一つとして、オープンアーキテクチャーが開催されている。先日、オ…

愛知県立芸術大学で新築なった音楽学部校舎を見学

愛知県立芸術大学と言えば、吉村順三氏の設計で、数年前に大学が再整備計画を明らかにした時には 地元のマスコミ等でも建替えの是非について取り上げられた。これを機に、DOCOMOMO japanの一つに選定され、保存・活用に関する要望書も提出された。その後、大…

里山資本主義

著者に「デフレの正体」の藻谷浩介氏の名前が挙がっている。「あとがき」でも藻谷氏自身が「デフレの正体」以来の執筆と書いているが、実は藻谷氏が書いているのは「中間総括」と「最終総括」の2章に「おわりに」だけで、いわば本論に当たる第1章から第5章ま…

愛知県の高齢者居住安定確保政策の現状

都市住宅学会中部支部公共住宅部会で愛知県の高齢者居住安定確保政策の現状について聴く機会があった。愛知県では平成24年3月に愛知県高齢者居住安定確保計画を策定しているが、その内容の説明とともに、計画策定とほぼ同時に開始されたサービス付き高齢者向…

風景という知

久し振りにオギュスタン・ベルクの名前を見て思わず注文してしまった。一昨年に発行された本。わずか119ページと短いながら、中身は難解。かなり苦戦してしまった。オギュスタン・ベルクってこんなに難解だったっけ。それでも父親の紹介や母親のスケッチ、妻…

伊勢の式年遷宮と伝統技術の継承

今年は20年に一度の伊勢神宮式年遷宮の年である。伊勢市にある皇學館大學文学部の岡田教授から伊勢神宮の式年遷宮に係る話題についてお話を伺った。 そもそも伊勢神宮とは、という話題から入るが、創紀は内宮の皇大神宮が297年、外宮の豊受大神宮が478年。皇…

3.11後の建築と社会デザイン

東日本大震災が発生して概ね4ヶ月後の2011年7月16日に行われたシンポジウムの記録である。消費社会研究家の三浦展氏と建築家の藤村龍至氏が司会をして、多くの豪華なメンバーがパネラーとして参加し、2部に亘って開催された。第1部では、建築家の山本理顕氏…

住宅の歴史社会学

●住居が固定された物質ではなく社会的な過程であるならば、その再編成もまた、社会的なものとして構想されねばならない。性急な解決を求める前に必要なのは、近代住居空間の社会的な構成を読みとき、分析することだ。歴史社会学は、そのための距離と自由を確…

東北発の震災論

「限界集落の真実」で一躍注目を浴びた山下祐介氏だが、東日本大震災の直後、2011年4月から弘前大学を出て、首都大学東京に異動した。しかしけっして東北を捨てたわけではない。以前のようにどっぷり浸かることは難しくなったかもしれないが、これまでの関係…

戸建住宅団地の居住環境評価

国土交通省(土地・建設産業局)では平成21年度に「戸建て住宅団地の居住環境評価に関するガイドライン」を策定・公表している。この内容を詳しく聞き、意見交換をする機会があったので報告する。 ガイドラインは、住宅単体の性能表示制度はあるが住宅団地の…

まちなか戸建

先日、森本先生の講演をお聞きし、やはり読まずばなるまいとさっそく本書を手に取った。基本的には先日の講演会と同じ流れである。講演の中でも話しておられたが、「2部 まちなか戸建の性能」と「3部 まちなか戸建を支える地域ビルダー」が先日の話にはなか…

「良いまちなみ」から「住みよいまち」へ

都市住宅学会中部支部総会講演会に参加した。講師は近畿大学を今春に退職した森本信明名誉教授。2008年に「まちなか戸建」を執筆発行されているが、何故かこの本は読んでいない。たぶん当時は私の関心が公営住宅や住まいのセーフティネットの問題に占められ…

あなたならどうする孤立死

1~2ヶ月程前に愛知県内の県営住宅で死後1年近く経った夫婦の白骨死体が発見されるという事件があった。孤立死は死亡者本人や周辺地域住民以上に、住宅所有者にとってこそ経済的な損失が大きいと考えるし、行政よ何とかしろ、と言っていればいい問題ではない…

小さな建築

隈研吾といえば竹や木など、自然素材を使った建築物を多く作ってきている印象がある。それはたぶん、人間の身体性に近いところで設計をしていきたいという意図があったのだろうと思うが、「小さな建築」というのは「身体性」に近い位置にある。 「はじめに」…

江戸の都市プランナー

「都市プランナー」というタイトルに騙された。歴史学者からすると、自治活動のリーダーは「都市プランナー」なのだろうか。出版社の戦略かもしれないが、せめて「江戸の都市行政家」位にしてほしかった。 本書は江戸末期の文化6年(1809)から安政5年(1858…

あの日からの建築

伊東豊雄という建築家はもちろん昔から知っていたけれど、やはり「せんだいメディアテーク」でガラッと変わったというイメージがある。本書は鈴木布美子というインタビュアーに対して話したことをまとめ、加筆・修正してできた、伊東豊雄の半生を振り返り、…

地震・津波災害に強いまちづくりガイドライン

中部地方整備局で「地震・津波災害に強いまちづくりガイドライン」の策定が進められている。先月18日に第6回検討委員会が開催され、中間とりまとめ(案)が提示された。先日、中部地方整備局の職員の方から内容について聞かせていただく機会があり、ある意味…

外国人居住者の居場所-ある団地での誕生と終焉

建築雑誌2012年5月号に掲載され、2012年日本建築学会優秀卒業論文賞を受賞したことから、指導教官の小松先生にお願いし、現在は名古屋大学大学院修士1年の筧さんに研究報告をしてもらった。発表論文だけでなく、その前段としての外国人登録者の状況や研究対…

岐阜県白川町で木造仮設モデル住宅を見学

東日本大震災では被災後すぐに、事前に準備をしていた木造仮設住宅を隣町に建設した岩手県住田町の取組みが脚光を浴びた。これに触発された白川町では、林業の町としてこれまで取り組んできた「東濃ひのきと白川の家」を仮設木造住宅に適用。さっそく白川町…

仙台から石巻まで、被災地を巡る。

仙台駅を起点に1日、仙台市から東松島市、石巻市、女川町の被災地を回ってきた。 まずは仙台市宮城野区福田町南仮設住宅へ。ここには伊東豊雄らによる帰心の会が被災地の仮設住宅に建設している「みんなの家」の第1号が建設されている。「みんなの家」は様々…

せんだいメディアテーク

仙台へ行ったついでに一度は見てみたかった「せんだいメディアテーク」に寄ってきた。仙台駅から地下鉄で2駅。県庁や市役所などもある勾当台公園駅で降りて、定禅寺通りを歩くこと5分。通りに面して北側に大きな太陽模様の外壁が目立つ建物がある。宮城県民…