2022-01-01から1年間の記事一覧

今年読んだ「すまい・まちづくり本」ベスト5

今年読んだ都市・建築関係の本はわずか11冊。平均すると月に1冊のペース。その他の一般図書も51冊しか読んでいない。コロナ禍があり、妻の介護もあって、外出がままならない。見学記や講演会の記録が中心のこのブログだが、それらにほとんど参加できず、また…

超高層住宅の維持管理と大規模改修

名古屋圏で90年代初期に建設された超高層マンションが数棟ある。そのうちの一つで排水管の大規模修繕が実施されたということで、理事長さんに話を聞く機会があった。RC造地上30階建157戸のマンションは敷地内に地下4階建の駐車場が別棟で建設されており、住…

土砂災害の疑問55

「災害と住まい」という講義の中で、土砂災害も取り上げているが、その発生メカニズムなどは詳しくは知らない。そこで本書を読んでみた。「土砂災害の疑問55」というタイトルのとおり、「土砂災害とはどのようなものですか?」から「土砂災害の多い日本で暮…

都市の問診☆

ここ10年ほどの間に、筆者がさまざまな媒体で執筆・公表してきた論文を中心に、構成している。その視点は常に、人口減少し縮小する都市空間に対して、都市計画に何ができ、どうすればよいのかという一点にある。成長する時代の手法として発展した都市計画に…

居住福祉を学ぶ

私が担当している大学講義の中で1回、「居住福祉」をテーマに取り上げている。これまで、世界人権宣言などの居住の権利や、早川和夫氏の「居住福祉」などを皮切りに、住宅確保要配慮者など住宅セーフティネット法や公営住宅などを紹介してきた。だが、「居住…

これからの住まい☆

「おわりに」を読むと、筆者の川崎氏は本書を「人口減少時代の住宅政策」の続編として構想したと書かれている。前著は、ここまでの住宅政策の流れを総括し、テーマごとに課題が整理され執筆されていたように覚えている。前著はテーマごとに複数の専門家が分…

またいつか歩きたい町

森まゆみさんには、30年以上前に、福井県の越前大野で会ったことがある。確かHOPE計画の全国会議だったと思うが、前日に雪の中を「小清水」まで見学に行ったところ、同年代の女性が来ていて挨拶をした。その後の講演会で、あれは森まゆみだったと知った。20…

建築から世界史を読む方法☆

筆者は歴史研究者である。本書は「建築から世界史を読む方法」というタイトルだが、世界史の視点から西洋の建築史を読み解くものである。大学の建築学科で教わる西洋建築史は、オーダーを習い、ゴシックやバロックの様式を学び、新古典主義やゴシック・リバ…

都市居住の社会学

都市居住を社会学はどう分析し、現在の日本の住宅政策をどう評価しているのか。タイトルと副題からそうした期待を持って購入した。序章の冒頭にも以下のように記されている。 ○これまでの日本社会では…社会学者の政策への関わりは低調であった。社会学の学問…

建築の明日へ

建築生産に関する研究者・松村秀一の最新刊である。とは言っても、もう1年近く前に出版されている。先日知ってあわてて購入した。(一社)日本建設業連合会の機関誌「ACe建設業界」で連載していたエッセイを中心に、いくつかのテーマにまとめて加筆修正した…

土地は誰のものか☆

「現代総有」という考え方がある。「土地を地域(共同体)が所有し、若しくは個人所有は認めても、利用は地域(共同体)が決定し、主体となって利用する」という考え方である。第5章が「現代所有」というタイトルになっているが、この章で「現代総有」につい…

住まいから問うシェアの未来☆

編者である住総研「シェアが描く住まいの未来」研究委員会の中心を担った岡部明子氏には、「サスティナブルシティ」など主にヨーロッパでの最先端の都市政策に関する専門家というイメージを持っていた。そこで、岡部氏が書いた序章「シェアを問い直す」を読…

地域学入門☆

「地域学」とは何だろうか。「地理学」とどう違うのか。いや、そんなことはどうでもよい。グローバル化が進み、国家ナショナリズムが沸騰する現代、私たちが住む足元、「地域」をもっと学ぶ必要がある。「地域学入門」と題された本書は、まさに入門書。いや…

あけましておめでとうございます