すまい・まちづくりノート

<小さい交通>が都市を変える

非常に面白い。とは、自動車や航空機、電車などのととの間にある移動手段をいう。一番身近なもので言えば例えば「自転車」。身障者用には電動車椅子もあるが、これら自ら操作するもののほかにも斜行エレベーターやベロタクシーなどがある。それだけではない…

2020年マンション大崩壊

前著「空き家問題」は、空家対策特別措置法の制定等もあって、大きなヒットになった。また内容も実務的でわかりやすく面白かった。その筆者が今度はマンションの問題について取り上げた。タイトルの2020年とは東京五輪の開催される時期だ。東京五輪後、湾岸…

中部の都市を探る

筆者の一人、中部大の大塚教授からいただいた。しばらくツンドクを続けていたが、ようやく読み始めた。読んでみるとけっこう面白い。全部で20名の執筆陣が様々なテーマで中部圏、そして名古屋を読み解く。地理学、都市計画、交通政策、経済学、建築史など専…

井上章一 現代の建築家

タイトルを見て、伊東豊雄や手塚貴晴などの現代建築家を語る本かと思っていた。予約して手に取って思わずびっくり。長野宇平治から始まって、伊東忠太、吉田鉄郎、渡辺仁、松室重光、妻木頼黄。ついでなので全員の名前を書いておく。武田五一、堀口捨巳、前…

【完】ドイツ流街づくり読本

5年ほど前に同じ筆者による同タイトルの本「ドイツ流街づくり読本」を読んだ。その後、「【続】ドイツ流街づくり読本」があって、今回の「【完】ドイツ流街づくり読本」が完結編。続編は読んでいないが、最初の「ドイツ流街づくり読本」はドイツの都市計画…

反骨の市町村

筆者の相川俊英氏はダイヤモンド・オンラインで「相川俊英の地方自治”腰砕け”通信記」を連載している。そこからの記事に加筆修正して発行された本ということで、元のウェブサイトを見に行ったら、3月31日を最後に連載が終了していた。私はこれまでこの連載を…

私的空間と公共性

和歌山大の山田先生には2009年に名古屋で開催された都市住宅学会全国大会でのワークショップでお会いしたことがある。その際、先生は「土地・住宅の公共性と公的管理」というタイトルで報告をされたが、リーマンショック後の不況がまだ続いている中で、住宅…

縮小都市の挑戦

空き家の増加が問題となっている。しかし序章「縮小都市の時代」では、縮小を新たな都市発展の方向として見直す見方を提起する。都市に散在する「空き」を「持続可能な縮小都市」を実現するための「資源」として活用できないかと考える。そうした視点でデト…

日本木造遺産

建築史家の藤森照信と写真家の藤塚光政が日本を代表する木造建築23作品を訪ね歩く。どうやら二人は必ずしも一緒に現地に訪れたのではなく、それぞれが都合のよい日に別々に訪問しているらしい。特に写真家の藤塚光政は被写体の撮影条件のよい日を選んで現地…

復興<災害>

塩崎賢明氏は阪神・淡路大震災の直後から、住宅や暮らしの復興を一貫して主張されており、東日本大震災後も同様の姿勢から多くの著書を著すとともに、兵庫県震災復興研究センターや阪神・淡路まちづくり支援機構の代表を務められるなど、復興支援に先頭に立…

日本の都市から学ぶこと

著者のバリー・シェルトンはオーストラリア在住の都市計画家である。日本人の妻を持ち、長崎(と東京?)と名古屋で生活をした経験を持って、日本の都市の構造を読み解く。 最終の第7章に、 ●大半のサインを読むことなく都市を歩き回ったのだが、建物の基本…

白熱講義 これからの日本に都市計画は必要ですか

日本の都市計画界の重鎮・蓑原敬氏に饗庭伸を始めとする若い7名の都市計画の研究者や建築家が講義を聴き、対談をする。1部「講義編」では、2011年3月から13年2月にかけて蓑原氏の講義を中心に開催された研究会での討議を紹介し、2部「演習編」では若手7人か…

豊橋・水上ビルを読む

JIA東海支部の機関誌「ARCHITECT」に昨年12月号から豊橋市の建築家・黒野有一郎氏による連載「建築家は、リージョンをもつ。」が始まっている。初回は「『豊橋』と『水上ビル』」というタイトルで、豊橋市の概況と水上ビルの概要について書かれている。そし…

景観の作法

布野修司は昔「住まいの夢と夢の住まい」を読んだことがある。それ以来、アジアの都市や住まいを研究している人だと思っていた。本書は本格的な景観論。教科書的なと言っても過言ではない。そして2000年に発行された「裸の建築家:タウンアーキテクト論序説…

地方消滅の罠

昨年5月に発表された日本創成会議の増田レポートを徹底的に批判する。「2040年までに全国の市町村の半数が消滅する可能性がある」とするこのレポートは、地方の自治体に大きなショックを与えた。先に読んだ「自治体崩壊」は豊富なデータを基に、「地方も都会…

自治体崩壊

日本創成会議が「2040年には自治体の半数が消滅する可能性」と発表されたのは昨年の5月。多くの自治体にとっては相当なショックで、さっそく国もこれに対応する動きを見せ、11月には地方創生関連2法が制定された。こうした動きに対応して何冊か関連本も発行…

3.11以降の建築

2014年11月1日から2015年5月10日まで、金沢21世紀美術館で開催される展覧会「ジャパンアーキテクツ 3.11以降の建築」に関連して発行された。って、まだ開催中じゃないか。できれば見に行きたいな。それはさておき・・・ この展覧会でゲスト・キュレーターを…

日本のカタチ2050

みかんぐみの「竹内昌義」、R不動産の「馬場正尊」、コミュニティデザイナーの「山崎亮」。今をときめく建築関係者の名前が表紙に大書されていた。そして「日本のカタチ2050」というタイトル。35年後の2050年を時代の最先端を行く彼らがどう描くのか。興味を…

「空き家」が蝕む日本

日本で住宅インスペクションを初めて業として始めた長嶋氏のことは、数年前から注目していた。最近は国交省が設置した研究会の委員を務めるなど活発に活動をされている。タイトルから当然、空き家問題に関する本だと思った。長嶋氏らしい空き家対策の提言で…

空き家問題

平成25年度に実施された住宅・土地統計調査の速報値が公表され、新聞等で空き家の増加がセンセーショナルに報じられたことで、空き家問題がホットな政策課題となりつつある。実際は新聞等で報じるほど、都市部や郊外地で空き家が発生しているわけではなく、…

横丁と路地を歩く

全国の横丁や路地を歩き、紹介する。現存するものが24か所。消えた横丁2か所。さらに新たに誕生した横丁として「おかげ横丁」など4か所が紹介されている。その多くは東京に片寄っていて、その他の地域は本書のためにわざわざ取材して追加したという印象だ。…

インフラの呪縛

「インフラの呪縛」というタイトルからは、単純な公共事業批判の本という誤解を生みやすい。だが実際は、河川や道路、鉄道事業などの戦前・戦後からの経緯を丹念に振り返り、公共事業がどういう経緯で現在に至り、どんな課題に直面しているのかを明らかにし…

近居

「夫婦+子ども二人」の標準家庭と言われてきた世帯が現実には非常に少なくなり、単身世帯の増加が顕著になって、また危惧されている。マスコミでは高齢者の孤立死が大々的に報道され、介護などの高齢者への対応の必要性が声高く叫ばれている。私の周りでも…

箱の産業

前回の「場の産業」から遡って、「箱の産業」を読んだ。「箱の産業」の成立と成長を経済状況や時代状況から述べる本かと思っていたが、プレハブメーカー8社の創業時の住宅開発に関わった16名の人々に当時の状況を聞くインタビュー記事が並べられている。その…

建築―新しい仕事のかたち

東大の松村先生が最近、「箱の産業」と「場の産業」という言葉を使い始めた。プレハブメーカーなどの取り組みをまとめた「箱の産業」についてはこれから読んでいきたいと思っているが、先に「場の産業」についての本を読んだ。わずか150ページ足らずのコンパ…

住まいを再生する

昨秋、講演をお願いした平山先生から本書の刊行を知らされ読み始めた。住宅問題や建築関係の研究者に留まらず、弁護士や法学、行政学、経済学などの多様な執筆者が分担して、東日本大震災及び福島原発事故による被災者支援と地域復興に向けて、現在直面して…

居場所としての住まい

筆者の小林秀樹と言えば、つくば方式定期借地権住宅で有名だが、「ナワバリ学」と言われると、「何それ?」と思ってしまう。しかし、「あとがき」によれば、そもそも大学院生時代の研究テーマは家族のナワバリの研究だったそうだ。現在の千葉大に赴任後、再…

自治体のエネルギー戦略

東京都庁の大野氏の著作ということで気になっていた。前に岩波新書から発行された「都市開発を考える」は今でも自宅の本棚に置かれている好著の一つだ。あれから20年余。大野氏は東京都庁で約15年前にそれまでの都市行政から環境行政部署へと異動され、東京…

里山資本主義

著者に「デフレの正体」の藻谷浩介氏の名前が挙がっている。「あとがき」でも藻谷氏自身が「デフレの正体」以来の執筆と書いているが、実は藻谷氏が書いているのは「中間総括」と「最終総括」の2章に「おわりに」だけで、いわば本論に当たる第1章から第5章ま…

風景という知

久し振りにオギュスタン・ベルクの名前を見て思わず注文してしまった。一昨年に発行された本。わずか119ページと短いながら、中身は難解。かなり苦戦してしまった。オギュスタン・ベルクってこんなに難解だったっけ。それでも父親の紹介や母親のスケッチ、妻…