公営住宅自治会支援ビジネスを始めませんか

 公営住宅の入居者が高齢化、低所得化し、自治会の運営が困難になってきている。UR賃貸住宅などでは、家賃の中に共益費相当分も含まれているため、入居者は家賃さえ払っていれば、共用部分の清掃やエレベータの管理などは住宅事業者がやってくれる。URであれば住総合生活(株)が、民間であれば家主さんや管理会社が行っている。

 しかし公営住宅の場合は、入居者自らが行うことになっている。行政は住戸を貸与するだけで、その管理運営にかかる経費は住戸内であれば個々の入居者が、共用部分であれば入居者で組織された自治会が負担する仕組みだ。

 これは、自治会がきちんと機能していた時には、UR子会社が会社経費も含めて共益費を徴収するのにくらべて、安い分担金で済むし、共益費徴収と自治会活動を契機に団地のコミュニティの醸成にもつながり、住民にとっても意義のある仕組みだったはずだ。

 また従来は、駐車場が少ない中、増え続ける違法駐車対策として、敷地内や団地周辺の空き地を駐車場にして貸し出す業務も自治会が実施し、その収入を共用部分の管理費や自治会活動経費などに充当してきた自治会も多かった。しかし最近は共同住宅建設時に相応の駐車場確保を義務付ける自治体も多く、駐車場料金は自治体が家賃とは別途に徴収することが多い。

 一方、最近の経済の低迷により、家賃の滞納も増加し、同時に共益費も滞納する入居者が増えてきた。家賃の滞納は自治体が困るが、共益費の滞納は自治会が困る。十分に共益費を集めることができないと、廊下の照明はおろか、エレベータまで停止せざるを得ない事態となりうる。

 こうした状況の中で、自治体に共益費徴収を要望する自治会が出てきた。しかし、一方では駐車場収入などをうまく活用する自治会もあり、また徴収・維持管理業務に従事させる人員確保の問題や事務費を上乗せして共益費を徴収することへの理解など、共用部分管理と共益費徴収を一律に自治体へ移管するには、すんなりとはいかない問題がある。

 とは言っても、自治会としてはいつまでも待っていられない状況にある。なかなか決断をしてくれない自治体のお尻を叩くより、共有部分の管理業務や共益費徴収を肩代わりしてくれる業者があれば、そこに委託する方が早くないか。

 ということで、今、私は、不景気の中、本来事業の業務量が減って困っている業者の方に、新しいビジネスを始めませんか、と言っているのだが、なかなか手を挙げる業者がいない。おまえが始めろって? 今の仕事をクビになったら考えてみたいと思っています。いや、真剣に。