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住宅リフォームにあたり耐震化を目指さない世帯が増えている?

 名城大学の高井先生を中心に住宅リフォーム産業の動向などを研究する会のメンバーに加えてもらっている。先日は愛知ゆとりある住まい推進協議会が実施している「わが家のリフォームコンクール」の応募作品を対象に住宅リフォームの傾向について分析した結果を報告していただいた。「L+DK」から「LD+K」への改修が多いなど、内容はそれなりに興味深かったが、分析対象がやや古く、各自治体による耐震改修補助がスタートして間もない時期だったこともあり、リフォームと合わせて耐震改修を実施したという割合が比較的少ない印象を受けた。そこで、研究会に参加されているリフォーム業者の方に最近の傾向を尋ねた。当然、「昨今は耐震化工事を一緒に実施される方が増えている」または「耐震化工事と合わせて間取り変更などのリフォームをされる方が増えている」という言葉があるものと思っていたが、答えは意外なものだった。
 「最近は、構造評点1.0を目指さないお客さんが増えてきたように思います」。えっ、どうして。
 詳しくは聞けなかったが、構造評点1.0を目指して筋交い等を設置するとどうしても他の改修項目とバッティングすることがある。東日本大震災後、しばらくは耐震改修を重視して他の事項をあきらめることが多かったが、最近は「1.0まで目指さなくてもいい」と考える施主が多くなってきたと言うのだ。どうしてだろう。
 みんなで議論し思い付いたのは、60歳以上の高齢者であれば、自分が死ぬまで地震に会わない可能性がある。高齢者が耐震改修を行わない理由としてよく挙げられる内容だ。一方、20代・30代の若年者は、一生涯その住宅に住み続けるという意識が乏しいのではないか。将来的に住み替えや建て替えも想定されるのであれば、構造指標1.0までの十分な耐震性を確保するのではなく、構造指標0.7程度までの耐震改修に留め、地震時に命さえあれば多少壊れてもまた修繕して住み続けていけばいい。そんなことを考えているのではないか。
 「最近のお客さんはみんな賢くなった」というのがこの話題のオチだったが、そうした傾向が目に見えて増えているというのは少しショックだった。最近は、構造評点0.3以下の住宅を0.7以上まで向上させる段階的耐震改修も補助対象に追加されたという話をしたのだが、この補助制度の利用者はまだまだ少ないようだ。従前、構造評点0.3以下という規定が厳しいということも聞いた。
 東日本大震災から早4年。火山噴火に対する危機意識は高まっているが、地震被害に対する危機意識はまた次第に収まりつつあるようだ。国の耐震改修は民間住宅から民間建築物へその対象を広げているようだが、住宅に対する耐震改修補助制度については、空き家問題も合わせて、そろそろ曲がり角に来ているような気がする。どう曲がったらいいのか、まだよくはわからないのだが。