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「200年住宅」法に対する危惧

 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」いわゆる「200年住宅」法が成立した。2月に閣議決定したものの、今春の波乱国会の中で継続審議となり、ようやく11月28日の今国会で成立した。さすがに法文には「200年住宅」ではなく「長期優良住宅」としているが、かつてセンチュリー・ハウジングというプロジェクトがあったので、100年じゃなくて200年という安易なネーミング。まだ認定基準がはっきりしないが、200年の耐久を保障できる内容となるかは大いに疑問。

 そもそもこの日本に、200年以上経過した住宅は数えるほどしかないが、現在検討中の認定基準がこれらの希少な住宅の構造等を参考にしている気配はない。住宅という個人所有・管理の建築物が200年という年月を耐え抜くためには、構造駆体の耐久性や可変性などの物理的な性能や適切なメンテナンスなどだけでなく、政治や経済社会環境の荒波に耐え追従できることが大切である。そのためには地域で愛され尊重される建築物であることが必要であるが、今回の法律がそこまでのことを考慮しているわけはない。

 先日読んだ「家づくりの知恵」でも、吉田桂二は「本当に残り続ける200年住宅の条件は?」と真剣に考え、『長寿命の家にする要諦は「愛すべき家にする」のが大前提でなければならぬ。』と書いているが、そこまで真剣に考えている形跡はない。結局、現在の住宅性能評価で最高ランクの耐久性や耐震性等を求めるとともに、定期的な点検・補修計画やその履歴が蓄積された住宅履歴書が整備されていることを求める程度ではないか。それで本当に200年保つのか。本当なら、景観法で景観重要建造物の指定をしたり、せめて都市計画道路指定などで取り壊さない覚悟くらいは欲しいところだ。200年住宅認定住宅の公表くらいはやってもバチは当たらない。

 しかし結局本音は、住宅の建設促進である。ほどほどの性能の住宅を認定して箔を付け、税制優遇や建築確認の特例の優遇措置を講じ、供給の促進を図る。そして認定申請や基準適合は、地場の大工・工務店には難しくても、大手住宅メーカーにとっては容易なこと。かつて、住宅性能評価制度の時も同様の企みをしたが、評価費用に見合った優遇策を講じることができなかったため、消費者に対しての大きなアピールポイントにはならなかった。しかし今度は違う可能性がある。特に建築確認の特例は、通常の民間確認機関等による確認申請をバイパスして、行政庁によっては手数料も免除され、認定を受けることができる。ハートビル法にも同様の規定があるが、こちらは住宅のため、普及すれば影響は大きい。

 「200年住宅」の必要性として、環境への配慮が上げられている。しかし日本の人口は既に減少局面に入っているのである。世帯数は依然として増加しているとはいえ、本当に環境に配慮するなら、新規に建設する住宅もさることながら既存の住宅の長期利用こそが重要である。一方で建築基準法の改正以来、増改築が非常にやりにくくなったと聞く。その上にこの経済の低迷である。これからの時代、新築住宅の建設促進を図るよりも他にやるべきことがあるような気がする。いずれにせよ、この法律が思わぬ副作用を起こさないかという危惧がしてやまない。

 1年半ほど前に書いた、「200年住宅の意味」も合わせてご笑覧ください。