中山道・馬籠宿と御嶽宿

 秋になると無性に中山道に行きたくなる。それでぶらっと馬籠宿と御嶽宿へ行ってきた。
 まずはシルバーウィークの中の1日、9月22日に家族連れで阿智村に向かう。いつものそば屋「おにひら」でお昼を食べた後、昼神温泉から一般道で清内路峠を越えて南木曾町へ向かう。くねくねとした道を抜けて峠から降りていくと、いくつかある無料駐車場の一つに停めて、急な坂道を歩き出した。
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 まずは展望台から恵那山を眺める。天気が良く、山容がよく見える。高札場には高々と様々な札がかかっていた。そしていよいよ石畳の馬籠の町並みへ。久しぶりの馬籠はこんなに急坂だったっけ。途中で酒屋に寄ったり、雑貨屋に寄ったり、竹細工の店に寄ったりしながら、脇本陣資料館まで下る。坂はここで少し落ち着いて、観光案内所。それから藤村記念館。郵便局も風情がある。
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 清水家資料館隣の豆専門店の2階でコーヒーを一服。そして水車の回る枡形とそれに面する木造3階建ての建物をながめる。昔来た時は荒々しい階段を登ったような記憶があるが、いつスロープができたんだろう。帰りは急坂をのんびり登って駐車場まで戻った。久しぶりの馬籠は大勢の客であふれていたけれど、昔ながらの町並みはそのまま。恵那山の山容もきれいで、気持ちのいい1日だった。
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 そして10月7日には、御嶽宿へ行く。町の名前は御嵩(みたけ)町。人口は約1万8千人。わが家からは小一時間で着く。途中で山の中のカフェに寄って、樹海の上に広がる山並みを楽しむ。そして御嶽宿へ。
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 御嶽宿は中山道49番目の宿場町で細久手宿と伏見宿の間に位置する。そう言えば30数年前、細久手宿(瑞浪市)から初めて中山道を北上し、途中、妻籠で一泊して塩尻まで旅行したことがあった。今回はその続きを南に向かっている。中山道みたけ館は1階が図書館、2階に郷土館のあるRC造の建物。ここの駐車場にクルマを置いて、パンフレットをもらう。東隣の御嶽宿本陣は立派な門構えの木造の建物。一般の民家として利用されているようで、右隣の通用門に普通に表札が掲げられていたが、母屋はやや新しい様子。パンフレットによれば明治・大正と建替えられたとのこと。しかしその裏手には漆喰塗りの土蔵が二棟見ることができる。
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 その東隣にある「商家竹屋」は本陣の野呂家から分家した商家で明治10年頃の建築。御嵩町有形文化財に指定され、無料で一般公開されている。格子窓で覆われた外観。道沿いには犬矢来が置かれ、中二階には「つし」がある商家で、玄関を入ると奥に向かって土間が走っている。右手にミセノマがあって、右奥は壁で遮られ、その奥に座敷が三間ある。表のミセノマの奥のナカノマには天井から高く井戸のようなあかり取りがそびえ、上方から光が落ちてくる。
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 中庭に面する縁側には像が歪む古いガラス戸があり、張り出しの縁台が付いている。通り土間には水路が掘られ、その上に板で蓋がされている。板の間にちゃぶ台の置かれた台所は最近修復したものという表示があるが、その奥には竈と井戸があり、別棟で屋根がかけられた炊事場になっている。また、中庭には二間続きの茶室があり、さらに奥には展示棟と土蔵がある。展示棟とトイレ棟は新しいが、それ以外は大正以前の建物のようだ。
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 展示棟では機織体験ができる。また壁にはセピア色の古い乾板写真が多く飾られている。当主である野呂家は金融業を営むが、名古屋で借家経営や輸入車販売なども手がけ、幅広く商売を行っていたそうだ。
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 周囲にも古い商家が散見できるが、それほど多く残っているわけではない。御嶽宿わいわい館は町が設置した地域交流施設で喫茶や工房などもあるようだが、あいにく当日は休館日。奥に長い商家の外観だけを眺めて、次は伏見宿へ向かった。だが、伏見宿も国登録有形文化財の「松屋山田家住宅」が残っている程度で他はほとんど建替えられてしまった。駐車場が見当たらず、やむなくそのまま素通り。御嵩町の旅は結局、商家竹屋を見ただけで終わった。
 帰りは、道の駅「可児ッテ『CANITTE』」で買い物をし、日帰り温泉でゆったり湯に浸かって家に帰った。楽しい1日だった。