椿の頃、陶都とこなめに遊ぶ
2月2日(土)3日(日)の2日間、常滑やきもの散歩道でつばきをテーマに展示されたギャラリーを巡るイベント「椿の頃、陶都とこなめに遊ぶ」が開催された。前回は2年前に開催し、今回が2回目。私はこのイベントの主催団体「タウンキーピングの会」の一員として3日の午後、土管坂休憩所「旧渡辺邸」でお手伝いをしてきた。3日はあいにくの小雨日和で、ひと足も少なく、身内で火鉢で餅を焼いて楽しんでいただけという気がしないではないけど、それでも散歩道に関心を持っていただいた若いカップルやシニア夫婦などが入れ替わり立ち代り訪れ、セントレアまで見通す丘上の景観を眺めつつ、しばしの暖と会話を楽しんでいかれた。
今回、土管坂休憩所「旧渡辺邸」では、甘酒の振る舞い(無料)と地元大蔵餅のつばき餅に芳香園のお抹茶セット(300円)、常滑焼の器付のこだわりオリジナル弁当「椿弁当」(限定50食3,500円)をお出しした。甘酒は両日とも早くに品切れとなり、それを楽しみに来ていただいた方には申し訳ないことをしたが、お抹茶、椿弁当とも盛況な売上げで、みなさんどうもありがとうございました。
この他、今回は次の4カ所で展示を行なった。以下、その状況を私が回った順番で簡単に報告します。
まず、廻船問屋瀧田家。華道家・斎田月紅さんが主宰する「斎田月紅社中展」は、瀧田家のここ彼処に椿を使った生花が飾られ、屋敷全体を華やいだ雰囲気にしていた。入り口のお出迎えの花、蔵の前の大きな鉢、石積擁壁上のディスプレイ、石倉の中の大胆で華やかな展示、見送りのナンテンの鉢など、それぞれがとても楽しめる展示だった。残念ながら椿の花が少し早くまだ蕾のものも多かったが、4日以降もしばらくこのまま飾っていただけるとのこと。満開の椿を見たかった。
art&design「rin’」+名古屋芸術大学常滑工房ギャラリーでは、3人の若手女性アーティストによる現代アート展を開催。古い工場跡の建物を生かして展示された絵画やオブジェ、映像などの作品は独特の雰囲気を醸し出していた。個人的には、rin’を共同主宰し作品を指導している坂倉先生と、常滑の古い町と空港開港に伴う郊外化との関係について話ができたのが一番の収穫だった。先生はパリの郊外のスラム化を例に挙げ、常滑の街の郊外化に伴う社会的文化的問題に散歩道が果たす役割があるのではないか、といったことを話されていた、と思う。
我々の根城「常滑屋」では、陶器職人の集まりである炎友会による「椿と陶片」と斉田月紅、河村冨代子、伊藤悦子の3人による「土と椿の悠遊展」が開かれていた。床一面に笹の葉が撒かれた上に大小の青竹が縦横に並べられ、大きな時代物のテーブルに陶器や陶片と椿が乱舞している。まるで竹林の異幻境を彷徨い歩いているように時と空間の座標がゆがんで感じられる。非常に面白い空間が現出した。
最後に回ったINAXライブミュージアムでは、陶芸家・冨本泰二先生による「早春・椿一輪」。陶楽工房ギャラリーの小さな一角に、茶黒く古びた竹に椿をあしらった作品はこの白く狭い空間に凛と張り詰めた緊張感を与え、清涼感と屹立とした感覚の見事な独自の世界を醸していた。ちなみに全くの門外漢なのでポイントをはずしていたらごめんなさい。それでも確かに皆さんが絶賛されるような芸術がここにはあったと思う。
今回、上記の5会場に加え、7つのギャラリーなどでも協賛をいただき、椿に関わる展示をしていただいた。名鉄常滑駅前の常滑市観光プラザ・ギャラリーceraでは書道作品と陶芸が協奏する「荒木一夫展 椿」、椿が一面描かれた器がテーブル一面に並べられ小さなお花畑のような「早春の出会い 大島和子陶展」を開催したギャラリーCoCoLo、3人の作家による「椿柄の器」展を開催したほたる子、ギャラリー雄の「一輪の椿と花入れたち」、茶楽の「やきもの椿展」、写真家・谷川英治氏の写真展「風をよむ」のギャラリー煙、そして昨秋の11月に空店舗を活用してオープンしたとこなめ中央商店街「ギャラリー常盤蔵」。最後の常盤蔵では管理をされている障害者支援団体の「ねこの手」の方にいろいろ楽しい話を伺ったが、それはまた別の報告に回します。
ご協賛いただいた皆さま、今回も椿をたっぷりと頂戴した安養寺さん、作家の皆さん、そして期間中来場いただいた皆さまに心から感謝したいと思います。どうも皆さま、ありがとうございました。
マイフォトもごらんください。