よみがえる商店街

 都市計画やまちづくりを担当していると、どうしても商店街のまちづくりに行き会わざるを得ない。しかし商店街の活性化と都市計画や街づくりは全く別物である。これは私が関わっている常滑やきもの散歩道のまちづくり活動でもたびたび感じることである。商業活性化についてアドバイスできるのは、商業コンサルタントであり、都市計画の専門家ではない。よって、商業活性化については門外漢であることを告白し、一消費者としての感想を述べるに留めることにしている。

 もっと正直に言えば、商業活性化には興味がない。時々刻々と変化する商業環境の中で、商店街の整備や活動は時間的なスパンが合わず失敗することが多いと思っている。商業活性化を目的とした商店街整備は無理だしムダだと思う。

 では何のために商店街を整備するのか。それは地域住民のためであり、地域住民が自らの必要のために自ら整備するのである。商店街が地域住民のために整備した商店街が成功するかどうかは、その内容により正否が分かれるのだと思う。

 だから本書で紹介される事例やその前に書かれた商店街再生のステップの論考は眉唾だと思っている。成功するためには本書で書かれたようなステップを踏むことは大事だろう。しかしだからといって、このステップを踏んだとしても成功するとは限らないし、このステップを踏まなくても成功はあり得る。

 また紹介される12の商店街の成功事例も、いつまで続くかわからないし、いずれも独自の状況や経緯を踏んでおり、真似することはかなわない。しかし成功事例を知るという意味では役に立つ。

 個店としてではなく商店街として活性化に取り組む必要性はどこにあるのだろうか。それが説明できなければ、いくら商店街活性化の成功事例を重ねても意味がないのではないか。そしてそこが私にはわからない。

 繰り返すが、商店街は地域住民が自らの必要のために自ら整備したときに初めて意味があり成功するのだと思う。商店主や商店街の組合員がやる限りは、ほんとうの意味での商店街活性化にはならないと思うのだがどうだろうか。逆説過ぎて、意味が伝わらないかもしれないが・・・。

●大手流通業がシェアを拡大し、メーカーとの直取引や海外生産委託、卸市場を経由しない市場取引を拡大させて、流通の中間過程を大きく変えている。端的なことは、従来、商店街等の小売業に商品を卸していた消費地に近い地場卸売業で経営が成り立たなくなっていることだ。(P39)
●お店はお客さんのためにある。商店街は地域のためにある。そのためにアモールトーワが設立された。・・・田中さんは言う。「商店街の将来は、地域に役立てる商業集団かどうかで決まる。それには単にモノを売るだけではダメ。商人一人一人がもっと努力し、地域住民から頼られるようにならなければならない。(P99)
●商店街の元気の源は個店の繁盛である。(P133)
●昭和の町の店舗は、四つの再生、すなわち「建築再生」「歴史再生(一店一宝)」「商品再生(一店一品)」「商人再生」の基本コンセプトを実践している。(P154)