多摩ニュータウンを歩いてきました。(その1)

 先月の猛暑の最中、いやそれでも曇りがちで、名古屋に比べればまだしのぎやすい天気だった。上京する機会があり、ついでに多摩ニュータウンを歩いてきた。午前中に練馬区で用事があったため、その後、光が丘団地を見学。中心の商業施設IMAで食事をした後、少しその周辺を歩いてみた。IMAの東側には幅の広い歩行者専用道が通っており、少し歩くと、広大な光が丘公園につながっている。周辺のマンションはどれも公共住宅らしい仕様だが、きれいに手入れされている。公園の南東には練馬光が丘病院。そしてその向かい側では大規模な工事が行われていた。調べてみると、清掃工場の建替え工事。住宅団地の中央に清掃工場があるというのは、周囲の既成市街地への配慮の結果だろうが、周辺環境へ十分配慮されていれば特に問題はない。
f:id:Toshi-shi:20180725123141j:plain
 入居開始が1983年。都営地下鉄大江戸線の開通が1991年で、その間はやや陸の孤島という感じだったのではないか。でも1995年には「子どもの数が激減。小中学校の統廃合案が実施」Wikiに書かれており、団地が開発されると一気に入居が集中した当時の東京における住宅事情が想像される。少し歩いた後、地下鉄で新宿に出て、京王電鉄多摩ニュータウンに向かった。
f:id:Toshi-shi:20180725141147j:plain
 京王多摩センター駅に降り立つと、まずは広大なペデストリアンデッキを南に向かう。20年近く前にサンリオピューロランドへ行った時も、その広さに驚いたが、やはりすごいなあ。名古屋から出てきた田舎者はまずはその規模感に驚く。大規模商業施設に挟まれたパルテノン大通りを進むと、階段がそそり立つコミュニティセンター「パルテノン多摩」がある。入り口に「多摩ニュータウン建物ウォッチング」という告知があったので、覗いてみた。一室で開催しているかと思ったら、4階の廊下にグルっとパネルが掲示されているだけ。それでもこれから多摩ニュータウンを歩こうという者にとっては、まずはここで、過去に話題になった住宅などを思い起こした。
f:id:Toshi-shi:20180725142844j:plain
 4階から南側へ抜けると、多摩中央公園。気持ちのいい芝生広場が広がるが、暑いので木陰を縫ってゆくと、「遊歩道・多摩よこやまの道」の看板が出ている。事前にガイドマップも入手しており、この案内に沿って歩くことにした。しばらく歩くと、公園内に民家が現れる。「旧富澤家住宅」。ニュータウン内でこうした古い民家を見かけるのは面白い。代々の連光寺村の名主の家で、1990年に復元移築したもの。かなりの規模を持ち、前面の庭と池も気持ちいい。桜美林大学の施設を抜けると、「プロムナード多摩中央」団地の中を通る。
f:id:Toshi-shi:20180725144015j:plain
 1987年建築、坂倉建築研究所設計。団地の中央を走る歩行者専用道路に向けて、アトリエなどに利用できるフリースペースと称する1室を持つ「プラス1住宅」が並ぶ形式は当時かなり話題となって、私も見学に訪れた記憶がある。フリースペースはどこもカーテンが引かれ、積極的に店舗などで利用されているところはなかったが、日に焼けたシェードに微かに「アトリエ」の文字が読めたりして、名残りは残っている。何より樹木が育ったプロムナードにフリースペースが変化を付けた外観は歩いていても気持ちがいい。
f:id:Toshi-shi:20180725144205j:plain
 中高層の団地を抜けると、低層住宅が集まった「タウンハウス落合」と「タウンハウス鶴牧」がある。歩行者専用道から引き込まれるように入っていくと、2階建ての長屋建て住宅に囲まれてインターロッキングの道路空間があり、アールの付いた玄関ポーチや赤いスペイン瓦、2階窓下棚に置かれた鉢物など、どこか南欧を思わせる街並みだ。不動産情報によれば、このあたりは1982年前後の建築で、2500万円前後で取引されているらしい。
f:id:Toshi-shi:20180725144652j:plain
 西に向かって歩くと、公園の突き当りに小さな水場があり、子供たちが遊んでいる。鶴牧東公園。ここの鶴牧山から多摩ニュータウンが一望できるというので登ってみた。登頂30秒。確かに360度、多摩ニュータウンが一望。高層マンションや中層マンション、その先には煙突も見える。公園もよく整備されており気持ちいい。だが暑い。さまざまな住宅が見える中でもタウンハウスに目が行って、南東方向、タウンハウス鶴牧を経て、奈良原公園を東に向かう。
f:id:Toshi-shi:20180725144939j:plain
 タウンハウス鶴牧の三角の妻面の窓辺に飾られた赤いベゴニアがきれい。また囲み庭もいい感じ。奈良原公園内にはテニスコートがあり、プレーを楽しみ人の姿が見られた。公園の南側がエステー鶴牧。白を基調とした外観は品のある感じ。この後、様々なタイプの外観を有した集合住宅が現れる。これらをクリップして歩くのも面白いかもしれない。橋を渡って宝野公園。球技場ではラグビーをしていた。遊歩道のルートに従い、少し南に下がって、るんるん橋、恐竜橋を渡る。歩道橋に色々な名前が付けられているところが面白い。恐竜橋には金属製の恐竜のモニュメントが設置されていた。
f:id:Toshi-shi:20180725150753j:plain
 落合中学校、落合団地、豊ヶ丘団地を抜けて、白雲橋を渡る。このあたりからかなりバテてきて、記憶も散漫。妻面タイル張りやアールの付いたバルコニーなど色々な外観のUR賃貸住宅が並んでいた。さらにコスモフォーラム多摩は民間分譲マンション。ホームタウン貝取エステー貝取はUR分譲住宅のようだ。歩いていたら、京王ストアの移動販売車が止まっていた。次のところへ移動すべく片付けの最中で、客はいなかったが、「京王ほっとネットワーク」のサイトを見ると、かなりきめ細かくニュータウン内を巡回している。移動販売だけではなく、空き家巡回や買い物サポート、リフォーム、家事手伝いなど様々な事業を展開している。多摩市の支援もあるようだが、民間ベースでこれらの事業が展開されているのがすばらしい。続いて、青陵中学校の前を通り、都営貝取2丁目団地を過ぎて、さんかく橋を渡り、永山地区に入る。
f:id:Toshi-shi:20180725152940j:plain
 長いので、続きは(その2)へ。