ラ コリーナ近江八幡

 岐阜羽島コストコへ行きたいと妻が言う。でもそれだけでは面白くないともう一足伸ばして「ラ コリーナ近江八幡」まで行ってきた。言わずと知れた藤森照信の作品。正直言ってもう少し近いかと思っていたけど、八日市ICを下りてから約30分。意外に時間がかかった。案内看板に従って左折すると駐車場がいくつかに区分されてある。なるべく正面の駐車場に停めるが、そこからは生垣に遮られて建物は見えない。少し歩いて生垣の間を抜けると、緑の原っぱの向こうに、緑に包まれた三角屋根の建物が見える。
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 どの駐車場の区画から入っても、各入り口から建物正面に向かうように、三和土で固められた通路が集まっている。そして建物正面に平行して低く深い軒。その下は日陰となって気持ちよさそうなベンチが置かれていた。庇の下には曲がりくねった柱が並ぶ。建物入口を入ると広いエントランスがあって、右にバームクーヘンのショップ。左には和菓子のカウンター。どら焼き直売コーナーを囲む配置の和菓子カウンターの商品を見ながら一回り。和菓子の抜型を張った飾り壁もあっておしゃれだ。
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 2階カフェに向かう階段があったが、そこを通り抜けて、エントランスロビーの奥から外に出ると、そこはまた藤森照信ワールド。小山を背景にのびのびとした水田が広がり、その周りをぐるっと1周できる通路が囲んでいる。また左側は、屋上緑化された半円形の渡り廊下が通路に沿って回る。水田のあちらこちらに、頭に松と思しき植物を乗せた小岩が散在し、鳥おどしが設置されている。1本の縦竿の頭から四方に綱を張り、そこに音子をいくつもぶら下げたもので、風に揺れて、また綱の端を引っ張ればカラカラと音が出る。
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 メインショップを抜けた右側の廊下状の建物の下には、カステラを中心とするショップとカフェがある。その右手には本社ビル。焦茶色の金属葺きの三角屋根が伸びて、左端には楕円形ドーム状の展望台。上部に開けられた窓から見学者とおぼしき若者たちの姿が見えた。一緒に入りたかった。三角屋根には大きな松の木が屋根を破って伸びている。また軒を支える柱もメインショップの庇と同じく曲がった柱。
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 円形の通路に沿って水田の周りを歩く。2/3周、左から歩けば1/3周ほど歩いたところに、ジブリの世界に出てきそうな薄茶色のモニュメントが置かれている。小さな入口が付けられ、そこをくぐったりしてみんなが写真を撮っていた。モニュメントの上には棟芝が植えられている。その向こうに渡り廊下。下に入って見上げると、しっくいの白と木の茶色のコントラストが美しい屋根裏。力強い自然木の柱が並んでいる。
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 渡り廊下の下をメインショップに向かって歩くと、右手に金属製のかまぼこ型の建物が見える。こちらはフードガレージ。2階建てロンドンバスや古びたシトロエントラックなどが置かれ、マカロンなどの洋菓子を置いている。その手前のフードコートに面して対面式のショップもあり、多くの客が楽しんでいた。また、ベーカリーの上は屋上デッキになっている。
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 ぐるっと一周戻ってきて、もう一度、メインショップへ。2階のカフェで中庭の全景を見ながらコーヒーを啜る。気持ちのいいひと時。風が吹き渡り、鳥おどしがカタカタとなった。いつまでもいたい気分だ。それでも今日のメインはコストコ。1時間半ばかり楽しんで次へ向かった。「びわ湖バレイ・びわ湖テラス」と並んで、今、滋賀県で最もホットな観光スポットの一つだと聞くが、確かにそれだけの魅力を持っている。そしてその豊かな環境は藤森照信の夢の力とコラボして、気持ちのいい風の中にある。