豊田市自然観察の森 ネイチャーセンター

f:id:Toshi-shi:20160130121316j:plain
 「自然観察の森」は全国で10ヶ所しかないそうだ。環境省と自治体が連携して整備をした自然教育施設である。それが豊田市にある。昨今、エコフルタウンの整備など、環境施策に積極的に取り組んでいる豊田市ならではの施設と言える。市街地から東へ矢作川を越えて10分ほど。外環状道路に面して、その西側にはすぐに郊外住宅地が広がっている。こんな近いところにこれほど豊かな自然が残っていたなんて、さすが豊田市は環境都市だと実感した。
f:id:Toshi-shi:20160130123849j:plain
 ここを訪れたのは「豊田市自然観察の森」の入口、ネイチャーセンターを見るためだ。外環状道路に面して打ち放しの壁に「豊田市自然観察の森」と記されたサインが出ている。そこを入ると駐車場の奥に、ダークブラウンに斜めのスリットが入った特徴的な外観の施設が待ち構える。ネイチャーセンターだ。平面計画が面白い。1階・2階ともにブーメランのような形状の平面が中央部を重ねて、両側の端部はそれぞれ逆方向に伸びている。エントランスに迎い入れるように湾曲する壁面は2階部分で、1階はエントランスだけ重ねて、左右はガラス張りの壁面が存在感を隠すように後ろに後退している。
f:id:Toshi-shi:20160130121618j:plain
 1階エントランスに入ると、左に事務室カウンターがあり、右に大型モニターが設置された企画展示コーナーと研修室がある。事務室東側の廊下を通って左に入っていくと、トイレとユーティリティルーム。キッチンや薪ストーブがある多目的スペースで、ここで飲食もでき、休憩室となっている。エントランスをそのまま通り過ぎると外部へ出ることができ、緩やかな斜面の先は自然観察の森を歩く各コースの出発点となっている。広場には野鳥のための給餌台がぶら下がり、ヤマガラシジュウカラが餌を啄み、せわしなげに木々を渡っていった。
f:id:Toshi-shi:20160130121646j:plain
 2階へは1階エントランスにあるエレベーターか回り階段を登る。左右に展示コーナーがあり、さまざまなテーマに沿って興味深い展示がされていた。また右側奥には工作室もある。室内は斜めの木質の壁とガラス。明るい光で満たされている。中央部から1階施設の屋上部分、出発デッキに出ることができ、また展示室の両サイドからも外に出られる。木道は2階屋上デッキとつながり、さらに正面に回り込んで1階エントランスから見た自然観察コースの出発地点に至る。2階屋上は一面、青空デッキとなっている。天空観察などをするのかな。太陽光発電パネルも並んでいる。
f:id:Toshi-shi:20160130122337j:plain
 この施設の目的は、自然観察に向かう人々を送り出すための案内施設であり、研修施設である。一時、大勢の集団を迎え、見送る。そして帰ってきたらこの施設内で観察結果を振り返り学習する。だからそれほど大きい部屋がいるわけではない。野外こそが主役で、施設はそれをサポートする。そのための透明性の高い気持ちのいい出発ロビー。空間はとてもよくできている。室内も明るく気持ちがいい。屋内空間も都会的でおしゃれだ。木製リブを間隔を空けて水平方向に並べ、その隙間に白い壁やサッシが見える。
f:id:Toshi-shi:20160130122046j:plain
 2階床裏も全面的に木製の天井が張られて、見上げれば美しい。デザイン性も高く、空間的にもすばらしい。唯一わかりにくいのがその外観。ガルバリウム鋼板でできたダークブラウンは森の木々に溶け込んでいるとは言うものの、斜めのスリットはデザイン性が高く、斜めに差し込む木漏れ日のイメージかとも思うが、強く主張している。自然の中を疾走する自動車と考えれば、トヨタらしいデザインと思えばいいのだろうか。
f:id:Toshi-shi:20160130123151j:plain
 住宅地からほど近い位置にこんな施設があるとは、豊田市民は実にうらやましい。この後、エコフルタウンの地産地消レストランでおなかいっぱいランチを食べた。改めて豊田市は自然と都市的環境の両立を目指す環境都市だと実感した。それは心地よいが、財政的に大丈夫かな。法人市民税の改正に伴い歳入が大幅減というニュースを読んで少し気になった。