孤立死対策は回覧板が一番! そして、民間型シルバーハウジングについて考えた。

 先日友人と話していたら、彼の町内で孤立死があったという話になった。ちょうど彼の家が町内会の役員(班長)に当たっていて、回覧板を回したが、いつまで経っても帰ってこない。数軒先の方に聞くと「うちにはまだ回っていないよ」という返事。どうやら一人住まいの高齢者の方の家で止まっているということで警察に通報して確認したら、既に亡くなっており死後4日だったとのこと。それでも4日後に見つけることができてよかった。
 友人の場合は、さっそく亡くなられた方の娘さんに連絡をして、死後の対応などはしてもらったそうだが、特に病気がちでもなければ、親族間でも1週間くらいは連絡をしないことはざらにある。というか、私の場合、親父とGWから連絡を取っていない。もっとも近くに住む妹の息子が入り浸っているはずだが。
 先日、愛知県では県営住宅で展開しているシルバーハウジングについて、従来はライフサポートアドバイザーの派遣を条件としていたが、市町村福祉部局の見守りサービスとの連携でも対応するよう弾力的な運用について検討している旨の新聞報道があった。新聞によれば、岡崎市の県営上和田住宅で、住宅側で住戸のバリアフリー化と緊急通報設備の設置を行い、岡崎市では週に1回の電話による見守り確認と24時間対応の緊急相談対応を行うよう調整をしているということだ。
 高齢者側からの通報がなければ、万一亡くなったとして、最大1週間は発見されない恐れがある。それでも高齢者見守りサービスとしては標準的なものかもしれない。他にも新聞配達や電気・ガスの検針時、弁当や乳飲料等の配達時における安否確認などが行われていると聞くが、考えてみれば地域住民による回覧板が一番有効な気がする。どうしてこれまで回覧板による安否確認が注目されてこなかったのだろうか。
 例えば班長さんに「3日以内に戻ってこない場合は確認しましょう」と伝え、発信日を明記することで班員の方にも3日以内の回覧に努めてもらえば、万一孤立死があっても3日以内には発見できる。簡単なことだ。
 新聞に掲載されたシルバーハウジングの記事について友人と話していたら、民間賃貸住宅をシルバーハウジングにすることはできないだろうかという話になった。現在のシルバーハウジングは公営住宅の建替え時に高齢者専用住戸を建設し、そこに福祉サービスを導入するものだが、既設の公営住宅にシルバーハウジングを導入できないかという話もある。たぶん、公営住宅ではただでさえ高齢者が多い中で、高齢者専用住戸を設けることについては団地自治会から異論がありそうだが、例えば1階の一部住戸に限って、バリアフリー改修と合わせてシルバーハウジングにするという方策はありそうだし、またその延長としては、民間の賃貸住宅についても、NPOや介護事業所等などからの福祉サービスの導入を条件にバリアフリー改修に補助を出すという施策も考えられる。
 高齢者向け住宅としてサービス付き高齢者住宅が注目されているが、そこまでの福祉サービスや住戸水準を求めなくても、既設の民間賃貸住宅の活用を誘導する方策を考えたほうが現実的だ。これからは空き家がさらに増加し、空き家を埋めることが競争的になると、補助制度などなくても、民間型シルバーハウジングの認定制度だけでも十分意味があるかもしれない。高齢者の安否確認と住まいのあり方についてはまだまだ考える余地がありそうだ。