ブランドとしてのDIYカリスマ

 DIYクリエイターのChikoさんとは、2017年に高蔵寺ニュータウン住宅流通促進協議会が開催したDIYワークショップ(「高蔵寺ニュータウンについて(その2)」)で知り合い、その後、Facebookでのお付き合いが続いている。一方、DIYワークショップの成果を引き継いだ高蔵寺まちづくり(株)ではその後もChikoさんのサポートの下、ニュータウン内の集合住宅や戸建て住宅、タウンハウスなどをDIYサポーター(DIYワークショップ参加者有志)とともにリフォームし、入居者の募集をしている。(最新は「築37年タウンハウス石尾台 DIY併用リノベーション住宅」
 しかし、こうした高蔵寺まちづくり(株)の取組については、「入居者が自ら作業をすることがDIYであって、DIYサポーターが作業をした住宅というのは、要するに素人仕事のリフォーム物件ではないのか」という疑問が湧いて離れない。そもそもDIYワークショップを開催した趣旨は、ニュータウン内の空き家流通を促すために、「改修前の中古住宅を廉価で購入し、DIYで改修すれば、安い費用で住宅取得が可能」という事例を示すとともに、DIYサポーター等が支援することで、DIYに自信がない人にもDIY改修を促すということだろう。DIYサポーター部の設置は賛同するが、彼らが十分に生きていない。ニュータウン内での中古住宅流通がどれほどか知らないが、ニュータウン内で不動産仲介をする不動産業者と連携して、中古住宅購入者の希望に応じ、DIYサポーターを紹介するなどの取組から始めるべきではないか。そもそも入居者がDIYしないDIY住宅という言葉が形容矛盾である。
 と日頃から思っていたのだが、最近、Chikoさんから愛知県住宅供給公社と組んで賃貸住宅のDIYリノベをしたという情報が入った。この記事を読むと、DIYには公社職員も参加して作業をした様子。でも入居者は参加してないよね。当然、上記の疑問が頭をよぎった。「入居者がDIYしないDIY住宅」って何? でもよく考えてみると、県公社の場合は賃貸住宅のリフォームにあたり、「DIYカリスマのChikoさんがデザインした」ということで、これは県公社やURがサンゲツやMUJIなどと組んで実施したリノベーション物件と同じ。つまり、今やDIYカリスマのChikoさんはリノベ・ブランドの一つとなったということ。
 そう考えれば、高蔵寺まちづくり(株)の物件もそうした試みの一つと言えなくはないのだが、第3セクターまちづくり会社という性格上、それでいいのかという疑問が拭いきれない。そもそもDIYが住宅流通促進の決定打となるはずもないのだ。