名古屋市営高坂荘のリノベーション住宅

 今年のGW明けの5月、名古屋市天白区の市営高坂荘で、高坂学区地域コミュニティ活性化プロジェクトの一環として、若年世帯向けにリノベーションされた市営住宅の募集があった。
 高坂学区は高齢化率が41.7%(H27.12.1現在)と名古屋市266学区の中で最も高くなっている。昭和41年に完成した市営高坂荘に至っては、755戸のうち、65歳以上のみ世帯が430戸と入居戸数の6割以上を占めている。そんな状況の中、市営住宅の空き家住戸を活用し、住宅供給公社がリノベーション予算を確保して4戸を改修。今回、募集が行われた。
f:id:Toshi-shi:20170601170807j:plain
 戸数は2タイプ4戸。市営住宅の空き室を定住促進住宅として提供するもので、入居資格は中学終了前の子供がいるか、夫婦とも35歳以下の若年世帯で、所得月額123,000円以上487,000円以下という定住促進住宅としての所得制限がある。
 もう既に入居は始まっているが、少し前、6月1日に入居前の住居を見学する機会があった。当日は設計を担当した公社職員から設計コンセプトなどの説明をいただいた。プランは2種類。高坂荘は元々1DK住戸に1室増築して延べ床面積48.78㎡、3Kの住戸として提供されている。増築部屋とのつなぎの部分にキッチンを配して、1室は和室の2LDKとしたAタイプと、独立キッチンを確保して、全室洋間にした1LDKとしたBタイプを用意した。
f:id:Toshi-shi:20170601161911j:plain
 Aタイプはキッチンをあえて間取りの中心にすることで、炊事をしながら全室を見渡せ、子供の行動をいつも見守ることができることをコンセプトとしたが、キッチンが狭く感じられ、人気はイマイチだった様子(とは言っても、この時点で2戸に対して3世帯の申し込み)。一方のBプランは、収納は少ないながら入居者の自由に任せることとし、こちらは3倍の倍率となった。ホームセンターの(株)カインズとコラボして、モデルルームでの生活提案を行ってもらったことも新聞等で話題となった。
f:id:Toshi-shi:20170601163317j:plain
 ただし、今回の事業は地域コミュニティ形成モデル事業として市が2800万円のリニューアル費用を負担したから可能となった事業でもある。今後、継続していくのはなかなか困難だろう。市や地域としてはこうして入居された方が地域活動にも参加していただき、地域の活性化につながっていくことを期待していたが、たぶんこうした取組を地域へ広げていくには、戸建て住宅の空き家を活用する方策が必要だろう。事業としては、採算を度外視してリノベーションしたら若年世帯の入居がありました、中でも人気があったのはBタイプの住戸でした、という結果でしかなかったように感じる。ちなみに、愛知県住宅供給公社でもリノベーション賃貸が好評を博しているが、基本的にリノベーション費用は3年程度で回収できるよう、費用及び家賃を設定している。それを考えると、相当に恵まれた事業だと言える。今後、周辺地区も含めた高坂地区全体での継続的な取組が期待される。