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豊明団地まちかど保健室

すまいづくり・あれこれ

 UR豊明団地で近隣の藤田保健衛生大学と連携し、団地内にまちかど保健室を開設している。先日、この施設を見学する機会があった。
 UR豊明団地は昭和46年に建設された2,126戸の住宅団地だ。ほとんどが階段室型5階建てで高齢者や外国人の居住が多く、空き家も増加している。そんな団地から距離にして500mほどの至近距離に藤田保健衛生大学がある。いわゆる大学病院で、医学部以外にも看護学科や臨床検査学科、リハビリテーション学科など総勢2800名を超える学生を抱える大きな病院だ。
 今後の保健医療の方向として在宅医療と介護との連携が不可欠という考えから、大学内に地域包括ケア中核センターを設置。訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所を開設するとともに、近接する豊明団地内に「ふじた まちかど保健室」を開設した。また事業の実施にあたっては、豊明市とURとの三者で包括協定を締結。地域の包括ケアの一翼を大学が担っている。UR側は団地内の空き店舗を提供。団地内の地域福祉医療拠点として積極的に活用し、PRしている。
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 具体の活動としては平日、無料で健康相談窓口を開設し、さまざまな相談に乗る他、ミニ講座や健康体操などを実施している。見学をさせていただいたときには認知症高齢者向けのリハビリ教室が実施されていた。実際どれだけの人が保健室を訪れるだろうかと思うが、昨年4月の開所以来1年間で相談件数は約400件。複数回来られる方もいる。具体の相談内容は健康への不安や持病に対する相談などだが、「認知症を疑って」といったものもあり、必ずしも本人だけではなく、家族や民生委員からの相談も受け付けている。対応は「助言」が5割、「主治医への相談を勧める」が3割で日常的な相談に対応しているという感じだ。逆に相談者から言えば、これまで独りで気にしていたり、知人に相談していたことが、気楽に専門家に相談できるという点で安心感は高いと思われる。また、大学としては保健室を拠点にさまざまな研究活動ができるとともに、学生の生きた学習の機会ともなっている。
 URも4階・5階の空き室をIKEAと連携したカラーコーディネートにより改装し、格安の家賃で学生や職員に貸し出しており、現在18名の方が入居している。入居の条件として、自治会活動への参加などを義務付け、独居高齢者との食事会や夏祭りでの屋台、団地文化祭への参加、学生主催の地域の子供を対象にしたクリスマス会など、学生と住民とのコラボ活動がさまざまに展開されている。健康ウォーキングラリーや学生による買物運搬支援なども学生主催で実施されている。学生にとってはこうした活動が単位として認定されるということもあるようだ。
 これらの取組による豊明市のメリットも大きいが、こうした状況を受けて豊明市ではこの4月からまちかど保健室の近くに「病後児保育室 えがお」を開設した。まだ開設したばかりで、見学した当日には預かっている児童はいなかったが、市民なら誰でも利用できるので今後の活用が期待される。また、まちかど保健室の前にあるURの集会所を改修して、介護ロボットスマートハウスの実証実験を行う計画もあり、現在そのための準備が進められている。
 まちかど保健室の見学を終えた後に、カラーコーディネート改修をした住宅も見学させてもらった。確かにコンパクトできれいにまとまったデザイン。モニター付きインターフォンを設置するなど既存住宅よりもグレードが高い。これで家賃は約1~2割引。ただし、まちかど保健室の設置などで4・5階の空き室が解消された、というのはやや大げさ過ぎる。立地的に外国人の入居が多く、それで空き家が埋まっている状況がある。
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 藤田保健衛生大学が近くに立地していたからこそ可能な施策という気もする。URでは全国100団地で「地域医療福祉拠点の形成をめざす」としているが、福祉施設はともかく、医療機関との連携というのはそう簡単ではない。ここでも医師会との調整には気を遣ったと言っていた。中核市等であれば保健所との連携というのも考えられるかもしれない。いずれにせよその実験的取組には敬意を表するし、今後の動向を注視していきたい。