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「D.M市でのまちづくり」を振り返る

 初めてパソコン通信に触れてニフティのFCITYに参加した頃、「D.M市でのまちづくり」という連載投稿をした。1994年2月から96年にかけての2年間のまちづくりの報告だ。今も「犬山北のまちづくり」としてHPに保存してある。先日、久し振りに犬山のまちを歩く機会があった。その前に確認の意味もあってこのHPを読み返してみた。そうだったのか。もうすっかり忘れていた事柄が書かれている。先日の見学会の資料「城下町まちづくり年表」には、1998年から2000年にかけての3年間を「混乱(過渡期)」と位置付けていた。私が「犬山北のまちづくり」を書いたのはその直前の時期、市民による様々なまちづくり活動が始まる前の黎明期だったが、こんなにも揺れ動いていたのかと今になって実感する。私が果たした役割はほとんどなく、ただ単に混乱を引き起こしただけのことだったかもしれないが、少しでも影響を与えていたとすればうれしい。
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 以下、簡単に犬山のまちづくりを振り返る。
○マンション計画と景観保存の動き
 平成2(1990)年に城下町地区内に15階建てマンションの建設計画が発表され、以前からあった「城下町を守る会」を中心に市民の間で景観保存への意識が高まった。これを受けて、犬山市では同年6月に都市景観懇談会を設置。議論を始めた。
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○都市景観条例と景観助成制度の創設
 都市景観懇談会の議論を経て、平成5(1993)年4月に犬山市都市景観条例を施行。年度末の平成6(1994)年3月には都市景観基本計画を制定し、6月に城下町地区を都市景観重点地区に指定した。また同年より景観助成制度を創設。平成6年度には新築2件、修景5件等の補助を行っている。
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○市民活動としての「犬山北のまちづくり」の始まり
 私が関わったのは平成6(1994)年から。改めて「犬山北のまちづくり」を読むと、当時所属していた建築士会の委員会の活動の一環として、犬山市へアプローチし、建築士が関わるまちづくりを展開したいという当方の意向と犬山市の思惑が合致して動き始めたようだ。犬山市では平成6(1994)年度にまちなみデザイン推進事業の実施が決まっており、その情報をいち早く入手した私が、両者の橋渡しを行ったという経緯だったのかな。恥ずかしながら、そんな経緯のことはすっかり忘れていた。市としては、3月に都市景観基本計画を策定し、4月からは景観助成制度も創設するところであり、重点地区指定のためのアリバイづくりといった面もあったかもしれない。
 始まってみると市も稚拙、住民も慣れていないということで紆余曲折があったが、7月には犬山北のまちづくり推進協議会が設立され、3月には協議会メンバーともども静岡県伊東市へ視察に行っている。最後には偉そうに「今後の犬山のまちづくり活動の方向について」なるメモを書いて担当者へ渡ている。私自身が一番勉強になったというところだろう。中でも「50年100年続くまちづくりを考える」という文章は忘れていたけど、重要な視点だと思う。
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都市計画道路問題から歴史のみちづくりへ
 市では平成8(1996)年に街なみ環境整備事業の大臣承認を得て、「どんでん館」や「しみんてい」などのまちづくり拠点や道路美装等の事業に入る。一方で城下町の中心に都市計画道路として決定された本町通線・新町線の拡張問題が住民の間で問題となる。結局、地元に各路線ごとにまちづくり検討会を設置するとともに、中心市街地活性化基本計画の策定と合わせて、「歩いて暮らせるまち 歩いて巡るまち」をまちづくりの方向性とする「歴史のみちづくり整備計画」を平成14(2002)年に策定。くらしのみちゾーンへの登録(平成15(2003)年)、国土交通省の無電柱化推進計画(平成16~20年度第5期計画)への採択、都市再生整備計画の策定(平成16(2004)年)などを経て、平成17年3月に都市計画道路の現道幅員への見直し決定告示を行った。また平成18(2006)年3月には県道から市道への移管も完了している。
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○まちなみの再評価と観光客の増加
 その後、拠点施設としては街なみ環境整備事業により旧磯部家住宅の復元改修も行われた。街なみ環境整備事業の10年間という事業期間が切れた後は、まちづくり交付金事業に引き継がれ、都市計画道路本町通線、新町線の電線地中化及び美装化も実施されている。
 一方、城下町の景観に対しては平成12(2000)年景観100選受賞、平成13(2001)年手づくり郷土賞受賞と次第に注目度を挙げていき、景観法が制定された平成16(2004)年以降には、平成17(2005)年3月に県下第1号の景観行政団体の指定を受け、川向いの各務原市とともに木曽川景観協議会を設立。平成20(2008)年には景観法に基づく景観条例を施行し、景観計画の告示を行った。
 城下町を訪れる人は確実に増加しており、犬山城の登閣者も10年前に比べ2倍以上に増えている。お城前に整備した駐車場も週末にはかなりの時間並ばなければ駐車できない状況だ。犬山市が市民とともに取り組んだ景観まちづくりの成果は確実に出ていると評価したい。
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 先日、市長選挙があり、これまで2期8年にわたり市制を担ってきた田中氏が落選。元市議会議長の山田氏が新市長に就任した。新聞等を読むと、新市長も城下町のまちづくり自体を批判しているわけではなく、観光化には理解を示した上で、変化を求めたということのようだ。これまでの犬山市の取組が継続して実施されるよう期待しているし、それが市民の思いだと信じている。
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