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設楽町の木造公共建築とダム移転者用住宅地整備

 もう1ヶ月近くも前のことで、次第に記憶から薄れつつある。いい加減に簡単でもいいからまとめておこう、と思って整理しておく。
 愛知県北設楽郡設楽町新城市の北。名古屋から東名高速で豊川ICで降り、国道151号を北上していく。新城市内に入り、国道151号は旧市街地北側のバイパスを通っていく。その途中、右側に新しい住宅が建ち並ぶ一画がある。サンヒル新城だ。設楽ダム建設に伴い移転を余儀なくされる方向けに愛知県住宅供給公社が造成分譲し、空き区画は現在、新城市で分譲を行っている。
 さらに道を進めると国道257号から一旦県道に入り、トンネルを抜けてまた国道に戻る。少し走った先の清崎地区にサンヒル清崎という住宅地が整備されている。街区入口に新築されたばかりの酒屋があり、その奥の10区画程の宅地にも新築住宅が建設されている。いずれもダム移転者により建設された住宅だ。裏手にはきれいな小河川が流れ、裏山の緑も豊かだ。
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 それからさらに進むと、設楽町の中心地、田口地区に入っていく。田口地区は全体としてなだらかな高台状の土地となっており、国道が地区の左端を通る。かつては国道の西側に町役場、県事務所、警察署などが並んでいたが、今年の2月に設楽町役場の新庁舎が国道東側やや奥まった敷地に完成し移転した。まずはそれを見学に行く。
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 立体トラスのキャノピーが迎え入れる庁舎は、エントランスを入ると、横にズラッとカウンターが延び、各課が一望できる。役場棟の右手前は「子どもセンター」となっており児童館・子育て支援センター・児童クラブが入る。園庭に遊具が並んでいたが、平日のお昼時には子どもたちの姿は見られなかった。また、キャノピーの左手が議場・図書館棟となっている。
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 役場庁舎内は片流れの木の梁に方杖が付き、高窓が開いて明るい光が降り注ぐ。ワンルームで全ての課が揃うが、明るい雰囲気の執務室で気持ちがいい。図書館もこじんまりしているが、木がふんだんに使われ、いい感じだ。設計は名古屋の伊藤建築設計事務所が担当している。
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 次いで国道から西へ少し坂を上った位置にある設楽中学校を見学する。2002年に設楽町内の中学校を統合して建設された学校で、三角破風が並ぶ特徴的な外観を持つ木造校舎だ。管理棟には時計台のような塔も建っている。また、体育館も面白い。こちらも伊藤建築設計事務所が設計をしている。
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 国道を挟んで東側に立地するのが「設楽町ふれあい広場 スイスイパーク」。こちらは半円筒形の屋根の下にテニスコートと体育館、屋内プールが整備されている。設計は豊橋の今井設計事務所。ちょうど中学校の生徒たちがプールの授業に訪れてきていた。国道257号を北から田口地区に近づいていった際には緑の斜面の上から来訪者を迎える施設でもある。
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 この後、設楽ダム移転者用に建設された県営住宅・町営住宅を見学した。田口地区北の老人ホーム跡に整備された平屋の戸建て住宅で団地の間に緑道が通り、全体としてゆったりした配置となっている。ダム移転を余儀なくされた方の多くは高齢者で、これから新たに住宅を新築するのではなく、余生を賃貸住宅で暮らそうという方も多かったように聞く。
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 田口地区の見学を追え、さらに国道257号を北上する。気持ちのいい高原道路を30分余りも走ると名倉地区に入る。国道沿い西側にカイト(凧)のような門が特徴的な小学校がある。設楽町立名倉小学校だ。黒川建築事務所設計で2009年に建設された。全体が木造平屋でガルバニウム鋼板の屋根がまぶしい。円錐形の屋根は食堂だろうか?
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 小学校へ入る道沿いの北側に昔懐かしい感じの講堂がある。何だろうと近付いていくと、さらにその西側に校庭が広がり、その北側に美しい平屋の木造校舎が建っている。旧・名倉中学校だ。付属棟も含めてほとんど現役当時のまま残されている。映画ロケなどにはうってつけではないか。今回の旅の中で思いも寄らず、最高の発見だった。実に美しく懐かしい。
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 その後は豊田市稲武地区の県営住宅・市営住宅、足助地区の市営住宅などを巡り、帰途に着いた。地域に根ざした建築を現実とすべく、設楽町には多くの木造公共建築が建設されるとともに、古いが美しく懐かしい建物も残されている。楽しい見学の旅だった。