消費税増税駆け込み完了検査への対応準備は大丈夫?

 住宅業界は消費税増税後のすまい給付金が10月1日に閣議決定され、駆け込み建設もようやく収まってきた感じだが、それでも今年上半期の住宅建設戸数はけっこうすごいことになっている。11月29日に公表された最新の建築着工統計調査報告によれば、今年度上半期の4月~10月の住宅着工戸数は前年同期比11.8%増だ。これは全国計の数値だが、持家着工戸数が日本一多い愛知県では、持家と分譲(マンションを除く)を合計した着工戸数が前年同月比16.2%増となっており、確認件数が相当にあったことが伺われる。
 しばらく前にある建築関係団体が主催した懇親会でのこと。ある指定確認検査機関の方が、「確認申請の件数が多いことはうれしいが、完了検査が3月に集中しそうで、今から対策を講じている」と言っていた。具体的には土曜日開業や週数日しか勤務しない嘱託社員の出勤日数を増やすといった対応を考えているとのこと。
 9月以前に契約した住宅は、完成が3月以降にずれ込んでも消費税増税の対象にはならない措置が講じられ、また前述のすまい交付金も決定したため(参考「不動産ジャパン:消費税特集」)、消費税上はそれほど焦って3月完了にこだわる必要はないと思うが、それでも引越しの時期を考えると、3月中に完成・入居を希望する建築主は多いことが予想される。また、着工時期はそれぞれ違っても、3月完成をめざして工事は進められるだろうから、先の統計数字以上に完了件数は増加することになる。加えて公共工事など3月末完了工事は多い。
 実は先日、ある指定建築確認検査機関で完了検査を申し込んだら断られたという噂を耳にした。もちろん建築確認はその機関で受けているが、何でも少し遠方の現場で、それがイヤで断ったのかなと話していた。今後、完了検査の申請が増加すると、断るまではいかなくても、検査月日が希望どおりにならないことも予想される。そうすると、県や市町村などの特定行政庁へ完了検査の申請をするのだろうか。
 建築確認検査などの小さい世界の話ではなく、消費税増税前には多くの分野で様々なトラブルがあるかもしれない。2014年3月問題への対応は大丈夫だろうか。