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2100年、人口3分の1の日本

 タイトルを見て、もっとおちゃらけた本ではないかと思っていた。しかし読んでみると非常に示唆に富む内容のものである。今のままの推計では、2100年には日本の人口は1/3になる、というのは本当である。だからこそ、東日本大震災の復興についても、この人口減少を前提にすべきだと主張している。しかしほとんどのマスコミはこのことに目を向けようとしない。いや、政府や政治家も同様だ。曲がりなりにも国家百年の大計というのなら、1/3の人口でも成り立つ街を作る必要がある。

 という趣旨のことが書かれているのは、「第3章 人口4000万人の都市と地方」である。しかしそもそも第1章の「かつて政府は人口減少を望んでいた」という節に驚く。日本は政府の計画どおり少子化を実現したのだった。

 本書では、将来の人口予測をするだけでなく、経済、暮らし、都市と地方、人間関係などさまざまな分野で人口4000万人の日本を描いてみせる。一方、特に興味深いのが「第5章 外国人5000万人の未来」である。ここでは国連が2000年に発表した移民推計を紹介する。それによれば、2005年の日本人口を維持するためには年間平均34万人の移民を受け入れる必要があり、2050年には2250万人が外国人になると言う。さらに生産年齢人口を維持するためには、4600万人の外国人を受け入れる必要があると言う。章のタイトルの意味である。

 しかしそれはほとんどあり得ない世界である。こちらの方がもっと驚きなのだが、「日本の貿易依存度は世界170ヵ国中で164番目」であり、超内需型国家なのだそうだ。第6章では以下のように訴える。

●人口減少社会というのっぴきならない事態に遭遇している日本が今後、持続可能な発展を達成するためには、これまで営々と築いてきた産業社会に代わる新たな文明を創造していく必要がある。そのためには日本人が外に出て行き、同時に異文化を受け入れることで刺激を受けアイデアを生み出していかなければならない。(P214)

 まさしくそのとおりかもしれない。日本という国の形はこれから大きく変わっていくだろう。だからこそ我々は「2100年の遠い未来社会のために・・・木の苗を植えるような作業」をしていかなければならない。そう、未来の日本人のために、未来の人類のために。

●同年(1974年)7月には・・・「日本人口会議」を開催。・・・最終的には「子どもは二人まで」とする大会宣言を採択した。・・・すでに人口1億人を超えていた当時の日本では、とにかく人口を減らすべきだという声が大きかった。・・・日本の「少子化」は、このようにして政府主導で始まったのだ。 (P28)
●相互扶助とか共助と呼ばれる人間関係がつくりあげたセーフティネットは、残念ながら過疎化によって消滅してしまう。・・・いま日本社会がやるべきことはそうした延命措置ではなく、人口減少に応じた集落の整理、そして都市の集約化だろう。外延的開発ではなく、内的発展のために力を注ぐべきなのだ。/いうなれば、21世紀の日本は社会関係資本、きずなの再構築に向けた再定住の時代なのである。(P105)
●土地活用の問題を解決できなければ、減災・防災のための移住も、持続可能なコミュニティを維持するための集約的な都市の移転も、生産性の高い農業や林業を実現する集約的な土地利用も不可能だ。・・・快適で豊かな人口縮減社会を実現するためには、まずは土地に関する所有と利用について、新しい解決策を見出す必要がある。・・・土地と精神の結びつきは尊重されるべきだが、少なくとも利用面ではもっと柔軟な流動化を図るべきである。(P111)
●顕著な晩婚化と非婚化によって全体の出生率が大きく引き下げられたのである。/この点に注目すると、現在、取り組んでいる次世代育成支援メニューの対象は、子育て中の家族に偏りすぎているように思える。・・・本当に大事なのは、未婚者への施策なのだ。したがって、本当に必要とされている対策は、若い人々の就職を支援したり、家族形成への意欲を高めることではないだろうか。(P221)