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国は早急に疎開対策を検討せよ!

 福島原発の被害が広がっている。今後の状況は予断を許さないが、既に福島県民全体の自主的な疎開が始まっている。今後は首都圏でも西日本に実家を持つ女性や子供の疎開が始まるはずだ。政府は、福島原発による影響を最小限に抑える努力をしていることもあり、自主的疎開行動を抑える方向で動かざるを得ない。しかし、国民、特に福島県民は、既に政府のプロパガンダを信じられない心境に至りつつある。既に検討が始まっているかもしれないが、国交省住宅局は早急に東日本住民の疎開行動に対する対策を検討し、対策を講じる必要がある。

 東日本大震災に対応し、全国の公営住宅で空き家を提供する対応が始まっている。しかし、どうやって提供していくのかは各自治体に委ねられているのが実態だ。大阪市は15日から受付を開始したという。愛知県では18日から募集を開始するそうだ。募集要件を見て驚いた。申請申込書に住民票と罹災証明書を添付しろ、と書かれている。

 これはあくまで地震被災者を想定したものであり、福島県からの疎開者は想定外だ。しかし、地震被災者だとしても、住民票や罹災証明の発行は既に始まっているのか? 運転免許証などの住所地を証明する書類があれば足りる、という対応がされるかもしれないが、役場自体が流出した市町村もあり、後日確認は困難を極める。親族による代理申請を認めれば、仮押さえの行動が始まり、あっという間に全国の公営住宅が空き家のまま抑えられる自体にもなりかねない。

 国は、全国の公営住宅の供給可能戸数を発表するだけで、それを被災者にどう提供するのか、その方針を示していない。公営住宅の募集と情報提供は、被災地において、全国で統一・集中的に行うべきで、国はそのための方針を早急に示すべきである。

 既に福島から逃げてきた家族が、新潟県のネットカフェで高山市内の定住促進住宅が開いているのを見て、さっそく入居したという記事が新聞で大きく扱われていた。名古屋でも当面ホテル住まいをするという避難者が現れはじめている。こうした疎開者に対する対応が全く検討されていない。

 場合によっては、被災地から遠い地域の公営住宅は疎開者への入居を第一とすべきかもしれない。福島県の人口は約200万人。疎開者の数は100万人近くなる可能性がある。疎開者のための仮設住宅の建設も検討する必要がある。

 現実的には、民間の空き家の供出だろう。相続対策等で建設され、空き家となっている民間賃貸住宅が平成20年の住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家総数は756万戸、このうち賃貸用空き家は412万戸ある。空き家となっている要因は、立地、老朽化、高家賃などいろいろ考えられるが、人口が減少する状況では需要が足りないということだろう。しかし、疎開行動により、一気に需要が活性化する可能性がある。立地等によっては家賃高騰も考えられる。一方で、被災者は基本的に収入が途絶しているケースが多い。市場に委せておいてうまく機能するだろうか。

 今回の震災で国は民間の賃貸住宅関係団体へ住宅支援への協力を要請している。しかし公営住宅のように無料で入居させるという話にはなっていない。従来の震災対策であれば、市場家賃で借り上げ、応急仮設住宅の一つとして利用するというものだ。だが、疎開対策としてはどうすればいいのか。民間賃貸住宅市場をうまくコントロールする方策と方針を定め、実施していく必要がある。

 以上のことは既に国において検討が始められていると思いたい。しかし、これまで公表されている国の動きは、阪神・淡路大震災の教訓を下に動いているように思われる。これまでの経験に囚われない発想が必要だ。既にそういう状況になりつつある。早急に疎開対策を検討せよ!