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エコビレッジ志段味 もうすぐ完成

すまいづくり・あれこれ

6167 荒川修作の奇抜なデザインで注目を集めたシティファミリー志段味を囲んだ広い敷地が昨年度から仮囲いで囲まれ、建築工事が行われてきたが、いよいよ最近仮囲いを外し、その全貌が見えるようになった。エコビレッジ志段味である。総戸数約200戸を予定するが、とりあえず今回完成するのは第1期分の74戸。特定公共賃貸住宅で中堅所得者世帯向けの定住促進住宅だ。

 名古屋市がめざす「循環型環境都市」のモデル的な位置付けの下、環境に配慮したさまざまな技術や取り組みが仕組まれている。太陽光発電やエコジョーズ給湯器、雨水貯留槽、共同生ゴミ処理機の設置、壁面緑化、ビオトープ、共同菜園の配置などの設備・仕様に加え、三面採光や風光ボイド、中庭を中心とした囲み配置など、住宅計画的にも意欲的な試みを行っている。加えて、住棟のカラーリングを椙山女学園大学の村上研究室に依頼して、見るからに楽しく目を惹く住宅となっている。 6187

 敷地面積12,582m2に対して、建築面積2,387m2、延床面積6,139m2と非常にゆったりとした配置となっており、住棟は4階建てのRC造。74戸のうち70戸は66~68m2の2LDK、78m2・3LDKは4戸という構成。家賃はそれぞれ66,000円と74,000円だが、就学前の幼児がいる子育て世帯は2割引になるという。既に募集は終了しており、3LDKについては8倍を超える倍率、2LDKについても全体では1.3倍程度で、空住戸の再募集に対しては2.6倍の倍率がついたそうだ。

 もう一つの売りは子育て支援室が併設された集会所で、こちらは木造平屋建ての240m2。授乳室や相談室も設置されている。 6181

 家賃については、募集前に不動産鑑定を取ったところ、これよりも低い結果だったと言う。確かに鉄道駅には遠く、最寄り交通機関はゆとりーとラインで、栄や千種へは大曽根で乗り換えなければならないという立地上の不利はあるものの、住宅の質や環境を考えれば「安い」という評価がされたのではないか。駐車場料金は1台4,000円を予定しており、1戸に付き1台までという制約が敬遠要因として働いたと聞く。 6201

 しかし実に意欲的な設計・デザインである。中庭を囲んで南北に配された住棟は敷地内側で渡り廊下で連結され、そこに設置されたエレベーターで全戸アプローチが可能になっている。各住棟は2戸又は1戸ずつのクラスターとなって三面採光・通風を可能としている。囲まれた中庭も程よい広さで全体として非常に明るい住宅群となっている。北側住棟の1階部分は南入りとしコミュニティにも配慮した。

 共同菜園や生ゴミ処理機、子育て支援室の利用については、原則として入居者の自主管理に委ねることとしているが、実際にどう使われるか興味がある。敷地最北・道路沿いのビオトープもどうなることか。

 名古屋市はこの春に市長が替わり、新市長からは2期以降の実施について明確な指示は出ていないと聞く。確かにかなり贅沢な感じがしないでもないが、こうした住宅が普通に造られるようになれば、われわれの住生活もゆたかさが実感できるようになるのだろう。公共住宅の役割の一つとしての先導性に意欲的にチャレンジしており、技術者としてはうらやましさを覚える。事業収支や公平性など難しい問題もあるのだろうが、できればこのまま2期までやり遂げた上で、将来の評価に委ねることができればと思う。公共住宅の役割という観点からも興味深い。

【参考】マイフォト「エコビレッジ志段味」もごらんください。