岩瀬大町の町並みと夕暮れの五箇山

5010 翌日は富山市のみなと町・岩瀬を訪れた。コンパクトシティの優等生として青森と並んで名高い富山市だが、その象徴的公共交通である富山ライトレールの終点近く、東岩瀬駅から先の神通川沿いに岩瀬大町の家々が並んでいる。岩瀬は北前船の拠点として多くの回船問屋が並び、肥料や日用物資の運搬・交易でたいそう繁栄したという。

 見学をした北前船回船問屋「森家」も豪壮な木組みも露わに、能登材、屋久杉、朱壁塗りと剛胆・繊細な造形を見せている。2階表の使用人部屋に北山絞りの床柱、2回裏の女中部屋にも裁縫ができる明るい窓が設けられ、使用人を大事にしてしっかり働いてもらおうという商売人らしい簡素で合理的な造りとなっている。 5024

 微に入り細に入る明るく楽しい解説の後、町並みを見学して歩く。隣家の馬場家は公開されていないが、森家以上に立派な造り。さらに現北陸銀行の邸宅にはさらにも立派な座敷があるとのこと。馬場家の正面にはポケットパークが整備され、公衆便所が設置されている。また、妻入りの田尻酒店や奥行き60mの土蔵蔵、さらに和菓子屋や蕎麦屋など多くの魅力的な商家がきれいに景観整備され並んでいる。ちなみに富山市は岩瀬民間建築物の修景整備に対して、500~150万円かつ補助率70%の修景事業補助を行っており、富山県も市町村負担の1/2を上限とする景観補助を実施している。

 この後、家族サービスで立山黒部アルペンルートの雪の大谷ウォークを楽しみ、夕刻に立山駅まで戻ってきた。帰りの東海北陸自動車道が渋滞していたため、富山県内でもう少しゆっくりしようと五箇山を見て帰ることにした。 5150

 五箇山ICに着いたのは6時過ぎ。ICの眼下に見える菅沼集落は観光客も消え失せ、駐車場もひっそりとしていた。ウシガエルの声ばかりが鳴り響く静かな村里。白川郷よりは小振りな合掌造りの2階・3階の窓から明かりがこぼれ、それを頼りに田んぼを囲む集落を歩いて廻る。店じまいを急ぐ土産物屋が4軒ほど。いくらか土産を買って車に戻る。

 せっかくなので相倉集落まで車を走らせる。着いた頃にはすっかり暗闇。足下の外灯と合掌造りから漏れる明かりだけの幻想的な世界。生活の邪魔をしないようにと静寂を味わって集落を離れた。

 駆け足で廻った富山・高岡の町並み。豊かな風土に培われた人柄と景観を満喫。心と暮らしの豊かさを実感した旅でした。

【参考】

●前に富山を訪れた時の記録 富山<八尾・井波・五箇山>を巡る

●マイフォト「岩瀬大町の町並みと夕暮れの五箇山」もごらんください。