「さしがね」や「墨壷」って見たことあるだろうか?

公益財団法人「竹中大工道具館」の赤尾館長の講演を聞く機会があった。テーマは「大工道具の歴史とものつくり」。新神戸駅隣に立地する「竹中大工道具館」は建築関係者なら一度は訪ねておきたいところ。建築士会の会報誌「建築士」でも昨年6月から12月にかけ…

人口減少時代の住宅政策

著者の1人である川崎直宏氏の講演を4月に聴いた。その際に本書も購入したのだが、これまでなかなか読む気になれなかった。あまり仕事に向き合いたくなかったのだろう。それでもようやく先週から読み始め、何とか読破した。 それほどの難解本ではない。むしろ…

日本建築入門

「日本建築入門」というタイトルだが、日本の建築物を古代から現代にかけて紹介する類の本ではない。日本らしい建築とは何か、日本の伝統は近代の建築物においていかに消化され、理解されてきたかを問う本である。そして日本の建築論が常に「日本らしい建築…

豊明団地まちかど保健室

UR豊明団地で近隣の藤田保健衛生大学と連携し、団地内にまちかど保健室を開設している。先日、この施設を見学する機会があった。 UR豊明団地は昭和46年に建設された2,126戸の住宅団地だ。ほとんどが階段室型5階建てで高齢者や外国人の居住が多く、空き家も増…

競わない地方創生

またもタイトルに釣られて久繁哲之介氏の本を読んでしまった。前に「地域再生の罠」を読んだ時にも、最終的には批判的な感想を持ったのに、同じ愚を繰り返してしまった。もっとも部分的には面白い提案も多いし、基本的な方向性が間違っているわけではない。…

徳島・脇町のうだつの上がる町並み

脇町はずっと昔から訪れてみたい町だった。だが周辺に観光地もないことから、なかなか訪れる機会がなかった。今回ようやく念願が叶った。期待に違わず、きれいな町並みが残っていた。というか、最近ようやく整備が進んできたという感じかな。観光客もそこそ…

岡山・吹屋のベンガラの町並み

連休中、家族で岡山県から四国に渡って徳島県、さらに淡路島と旅行をしてきた。途中、いくつか古い町並みや新しい建築物を見学した。まず岡山県高梁市の吹屋から報告する。 中国道・新見ICから南へ小1時間。この後、倉敷へ抜けたが、倉敷からも小1時間。高梁…

ショッピングモールから考える

思想家・哲学者の東浩紀と千葉大建築学科出身のフォトグラファー・ライターである大山顕の対談。大山顕は住宅都市整理公団総裁としてその名を知ったが、「団地マニア」「工場萌え」などの火付け役としてかねてから注目してきた。そんな彼が今度は「ショッピ…

地震の記憶

熊本地震の揺れがなかなか収束しない。今回の地震は、最初の前震では直下型断層地震ということで建物被害は地域限定的だったが、その後に大きな本震が襲い、前震で緩んだ建物が崩壊するという被害が多数起きている。今後の余震でさらに崩壊する建物が増えな…

解決!空き家問題

「解決!空き家問題」というタイトルだけど、「空き家問題はこれで解決!」といった秘策を披露しているわけではない。除却と活用。これを一つひとつの住宅について実施していくしかない。除却しても土地は残るわけだから、結局、誰かに譲らない限り、空き家…

南海トラフ地震

東日本大震災の記憶が次第に風化しつつある一方で、南海トラフ地震の発生はいつあってもおかしくないと言われている。南海トラフ地震はいつ起きるのか、どの程度の規模の地震なのか、そもそもどういうメカニズムで起きるのか。国などが公表した被害想定をど…

太田川駅前施設が完成

昨年9月に東海市の太田川駅西口に再開発ビル「ユウナル東海」が完成し、その完工式が行われた。その後、駅西広場が整備され、西側の15m歩道につながる歩道橋も完成した。これで太田川駅周辺の市による施設整備はひと段落。3月26日に関係者を集めて太田川駅…

おたがいさま運動の結実 「南生協病院」と「よってって横丁」

南医療生協の「南生協病院」とその隣に昨年4月にオープンした「よってって横丁」を見学してきた。2010年に開設された「南生協病院」は翌年度の第19回愛知まちなみ建築賞を受賞しており、地域に開放された病院として高い評価を受けている。今回隣に、有料老人…

限界マンション

日本で空き家問題研究の嚆矢といったら筆者を置いていない。空き家関係でいつくかの著書(例えば「空き家急増の真実」)があるし、昨年は筆者が講師となった講演会「空き家対策と活用促進」を聴きに行った。最近は牧野知弘「空き家問題」や長島修「『空き家…

日本人はどう住まうべきか?

国立競技場がやり直しコンペの結果、隈研吾らが提案したA案で決定した。隈研吾の名前はそれで一躍有名になったのではないか。だからだろうか、2012年に刊行された本書だが再び文庫本で発行されることになった。これまで養老孟司の本は読んだことがなかったが…

「見える化」と「緑をつなぐ」がコンセプト 愛知総合工科高校

名古屋の東山公園から道路を挟んで北側、かつて東山工業高校があった場所で今、愛知総合工科高校の建設が進められている。既に足場は撤去され、植栽工事などが真っ只中。今年4月開校の予定だ。 東山工業高校と愛知工業高校を合併して愛知総合工科高校になる…

豊田市自然観察の森 ネイチャーセンター

「自然観察の森」は全国で10ヶ所しかないそうだ。環境省と自治体が連携して整備をした自然教育施設である。それが豊田市にある。昨今、エコフルタウンの整備など、環境施策に積極的に取り組んでいる豊田市ならではの施設と言える。市街地から東へ矢作川を越…

街道を抱く木の学び舎 亀山市関中学校

東海道47番目の宿場は三重県亀山市の関宿だ。もう10年近くも前に町並みを歩いて(「東海道・関宿・土山宿」)以来、行っていない。街道から程近いところに亀山市関中学校があり、5年ほど前に建て替えられた。機会があり、校内を見学させてもらった。 最初に…

あけましておまでとうございます。

見えない道路

「見えない道路」とは二項道路のことである。タイトルはカッコいいが内容は正直わかりにくい。長く東京都で建築行政に関わってきた筆者が2001年に提出した学位論文をベースに二項道路に係る諸問題について考察する。文章がわかりにくいことに加えて、第2章「…

下呂を元気に! 下呂交流会館

温泉で有名な下呂市に5年前、市民交流のための施設「下呂交流会館」がオープンした。先日機会があって見学することができた。完成した施設内容もさることながら、運営や利用状況もすばらしく、元気をもらって帰ってきた。いい施設だった。 立地は下呂温泉か…

地方創生の正体

国があり、都道府県があって市町村がある。日本の統治構造‐自治構造はそう組織されている。そして住民はそうした多重構造の中で、特に地方の居住する住民は、その構造を下から眺め、実感している。昨年度から突然のように取り組み始められた「地方創生」は、…

多縁社会

我々は「縁」によって生かされている。「縁」はかつてのような血縁、地縁だけでなく、いまや様々な形の「縁」が我々の人生を生かしている。そしてそれが様々な住まいの形として見られる。本書は基本的に、こうした様々な住まいの形を紹介するものである。し…

既存ストックの福祉的活用

数週間前に「既存ストックの福祉的活用」について、金城学院大学の加藤準教授の講演を聞く機会があった。先生は建築計画が専門で、自ら設計したケアホームやデイサービスセンターの紹介をされた後、地域包括ケア時代の福祉施設について説明があった。ここで…

<小さい交通>が都市を変える

非常に面白い。とは、自動車や航空機、電車などのととの間にある移動手段をいう。一番身近なもので言えば例えば「自転車」。身障者用には電動車椅子もあるが、これら自ら操作するもののほかにも斜行エレベーターやベロタクシーなどがある。それだけではない…

中山道・馬籠宿と御嶽宿

秋になると無性に中山道に行きたくなる。それでぶらっと馬籠宿と御嶽宿へ行ってきた。 まずはシルバーウィークの中の1日、9月22日に家族連れで阿智村に向かう。いつものそば屋「おにひら」でお昼を食べた後、昼神温泉から一般道で清内路峠を越えて南木曾町へ…

2020年マンション大崩壊

前著「空き家問題」は、空家対策特別措置法の制定等もあって、大きなヒットになった。また内容も実務的でわかりやすく面白かった。その筆者が今度はマンションの問題について取り上げた。タイトルの2020年とは東京五輪の開催される時期だ。東京五輪後、湾岸…

「ユウナル東海」と名鉄太田川駅周辺のまちづくり

愛知県東海市の太田川駅前と言えば、「デフレの正体」で藻谷浩介が「好景気にも関わらず閑散な駅前の代表」として取り上げていた。「デフレの正体」が発行されたのは5年前で、確かにその頃はまだ区画整理事業などは目に見える形ではできていなかったかもしれ…

中部の都市を探る

筆者の一人、中部大の大塚教授からいただいた。しばらくツンドクを続けていたが、ようやく読み始めた。読んでみるとけっこう面白い。全部で20名の執筆陣が様々なテーマで中部圏、そして名古屋を読み解く。地理学、都市計画、交通政策、経済学、建築史など専…

安城農林高校 伝統ある校舎を復元

愛知県立安城農林高校を訪ねる機会があった。正門を入って正面の本館棟の建て替えが昨年度から行われており、今年の春に完成した。正面入口上部の三角形の立派なペディメントを備え、ギリシャ風の4本の柱の手前には張り出しのバルコニーが出る立派な外観だ。…