すまい・まちづくりノート

知られざる地下街

(P019)に「こんなに距離が短い地下街があった」として、「蒲郡北駅前地下街」が紹介されている。(P025)に「全国地下街一覧」が掲載されているが、80ヶ所の地下街のうち、人口10万人以下の市にある地下街はこの「蒲郡北駅前地下街」だけだ。生まれ育った町な…

人口減少時代の都市

「人口減少時代の都市」の後ろには「経営戦略」と補えばいいのだろうか。経済学者から見た成熟型の都市政策の提言。だが、書かれていることにそれほどの意外性はない。むしろこれまで都市計画の研究者が言ってきたことを経済学者の観点から言い直したような…

ニュータウンの社会史☆

○ニュータウンのなかに入り込んでたくさんの経験を積んでいくなかで、「オールドタウン」だとか、高齢化で限界集落間近だとか、犯罪の巣窟だとかいって、一方的に切って捨てる、その視線のありように激しく反発を覚えるようになった。人の生活や営みを、その…

自分にあわせてまちを変えてみる力

饗庭伸の本を読みたくて、本書を借りてみた。ただし、これは饗庭伸の他、薬袋奈美子や秋田典子など大学を異にする6名の研究者の共著。共同で実施した韓国と台湾におけるまちづくり調査の内容をまとめたもの。 ただ、まとめ方はかなり面白い。出だしの「アジ…

都市をたたむ☆

先日聴いた饗庭伸氏の「人口減少時代の都市計画・まちづくり」が非常に面白かったので、本書を購入して読了。都市のスポンジ化とそれに対応した都市計画手法については、先日の講演会でも話された、立川市や鶴岡市の事例も紹介されており、改めてナットク。…

僕らの社会主義☆

國分功一郎はかねてより注目している哲学者であるが、それがコミュニティデザイナーの山崎亮氏と対談する、というのはかなり異色の組み合わせのように感じた。が、読んでみると、確かに國分氏は「来たるべき民主主義」で住民運動を通して、住民自治の問題な…

ヤンキーの虎

先に読んだ「これからの地域再生」の中で藤野氏が書いていた「ヤンキーの虎」に興味が湧いて、本書を読んでみた。うーん、期待ほどには面白くなかった。 「地方は今、筆者が『ヤンキーの虎』と名付けた起業家が現れ、地域経済を引っ張っている」というのだが…

人口減少時代の土地問題

公共事業の土地買収にあたり、土地の所有者が死亡して相続人が多数にわたり、非常に難航するケースがあるという話は聞いていた。高度経済成長に伴い、多くの若者が都会へ出て行き、所有者が死亡した後に放置された山や田畑が多く見られるようになってきた。…

町を住みこなす

大月先生の講演会が先日あった。あいにく参加できなかったが、本書と同じタイトルというので、さっそく読んでみた。大月先生には2015年に講演会があった時にも参加した。その時は「人口減少時代の住宅地運営~住宅地における多様性の獲得」というタイトルで…

これからの地域再生

飯田泰之が編者となった本は、先に「地域再生の失敗学」を読んだ。地域「再生」とは経済的な向上だとはっきりさせることで、わかりやすく地域再生を論じていた。本書では、前著で対談した相手とはまた違う6名の著者による、それぞれの分野における地域再生策…

近代化遺産を歩く

2001年発行だから、もう16年も前の本である。これまでも何度か書店で手に取ったことがあるが、先日ようやく購入した。どうしてこれまで購入しなかったかと思うに多分、もっと土木的な構造物が掲載されていることを期待したからではないか。思った以上に建築…

世界の美しい名建築の図鑑

原題は「THE STORY OF BUILDINGS」。「建物の物語」。この方が内容を的確に表している。確かに精密で美しいイラストがついて、世界の様々な建物の特徴が余すところなく表現されている。それらを見ているだけでも楽しい。外観だけでなく、内部も各所で建物を…

知りたい、歩きたい! 美しい「日本の町並み」

GW前に東北旅行へ行った。その際に旅程の参考にするため、本書を購入。中でも目に付いたのが「出雲崎」。期待通りの妻入りの町並みを見学した。しかし、出雲崎に行って初めてわかったのは、建物自体は意外に新しい、ということ。本書ではそこまでは書かれて…

モダニズム建築紀行 日本の1960~80年代の建築

「モダニズム建築紀行―日本の戦前期・戦後1940~50年代の建築」とセットだが、後巻である本書から読み始めてしまった。1960年から1983年までに建築された46件の建物を紹介する。大阪府建築士会の会報「建築人」に「記憶の建築」として2009年から掲載されたも…

人間の居る場所

3部構成で、第1部が筆者自身の講演がベースとなった都市論、第2部は陣内秀信や山本理顕らとの対談集、そして第3部は三浦氏がプロディースした吉祥寺と福井市浜町でのコミュニティデザイン大賞の顛末とこの章に関わった人々によるコメントなどで構成されてい…

町の未来をこの手でつくる

紫波町のオガールプロジェクトについては、本書を読むまでほとんど知らなかった。筆者の猪谷氏は産経新聞記者を経て、現在はハフィントンポストの記者を務めている。前著「つながる図書館」が好評で、そのつながりとして紫波町立図書館を取材。オガールプロ…

日本語の建築

先に「『建築』で日本を変える」を読んだ。それは伊東豊雄に対するインタビューをまとめて本にしたものだった。本書を購入してから、これも同様にインタビューをまとめたものだということに気が付いた。それで同じようなことが書かれていたらどうしようかと…

ひらかれる建築

2013年に松村先生は二つの本、「箱の産業」と「建築―新しい仕事のかたち」を出している。本書はその続編として、これからの「建築」のあり方、方向を考察したもの。「民主化」をキーワードに、グロピウスなどが、庶民が健康で快適に住むことができる住宅のプ…

空き家の手帖

先日、京都空き家セミナーを聞いた際に本書を購入した。わずか91ページで、活字や行間も大きいQ&Aのページが中心で、その間に5つのコラムと空き家活用事例が6点掲載されている。最初の方のページなどは、見開きで「手遅れになる前に」「活用しましょう。」と…

老いる家 崩れる街

人口減少に伴い、住宅や住宅地が余ってくる、空地や空き家が多く発生してくるということは、社会的に、そして住宅施策においても最重要な課題となっている。しかし本書はこの問題を都市計画の課題として考察し、方策を考えようとするものである。「はじめに…

集合住宅

副題は「20世紀のユートピア」。「まえがき」の副題に「集合住宅にユートピアを求めて」と付いている。単に世界の集合住宅を紹介するのではなく、集合住宅がいかに人々のユートピアを求める活動の一環として実現されてきたかを、ドイツ、オーストリア、オラ…

「ハイテク」な歴史建築

筆者は半導体・物理学の研究者である。一方で根っからの古建築好きのようで、全国の伝統的な建築物を見て回っている。タイトルを見て私は純粋に、伝統的建築物に使われている現代にも通じる技術を解説する本だと思っていた。しかし上述のように筆者は建築の…

タワー

「シリーズ・ニッポン再発見」の中の1冊である。既刊は「マンホール」に「銭湯」、「トイレ」、「橋」。続刊として「包丁」が予定されている。タワーが日本独自の文化ではないし、五重塔など寺社仏閣は含まれていないので、シリーズに入るのはやや違和感があ…

小さな建築

「小さな建築」って何だろう? ○「小さな建築」とは、寸法が小さな建築ということではありません。私たちが持って生まれた五感が、その中でのびのび働く建築、あるいは私たちの心身にフィットする建築・・・ここはどこ、今はいつ、これは何、隣はだれ、私は…

「建築」で日本を変える

国立陸上競技場のコンペを争ったように、伊東豊雄と隈研吾はいまや日本を代表する建築家の双璧となっている。しかし二人の建築の志向はかなり違う。特に東日本大震災で各地に「みんなの家」を建設して以降、伊東豊雄の方向性は大きく変わったように思う。「…

現代建築のトリセツ

「トリセツ」って言葉はいつから流行語になったのだろう。昨年、西野カナの「トリセツ」がヒットしたが、海堂尊の「トリセツ・カラダ」が発行されたのは2009年だから、もう10年近くも前から流行っているのだろう。そして松葉一清が「現代建築のトリセツ」を…

地域再生の失敗学

タイトルに「失敗学」とあるけれど、失敗事例が多く挙げられているわけではない。経済学者の飯田泰之が、地域活性化支援の専門家・木下斉、地域経済学の川崎一泰、経営学者の入山章栄、農村計画の専門家・林直樹、そして若くして千葉市長になり2期目の熊谷俊…

人口減少時代の住宅政策

著者の1人である川崎直宏氏の講演を4月に聴いた。その際に本書も購入したのだが、これまでなかなか読む気になれなかった。あまり仕事に向き合いたくなかったのだろう。それでもようやく先週から読み始め、何とか読破した。 それほどの難解本ではない。むしろ…

日本建築入門

「日本建築入門」というタイトルだが、日本の建築物を古代から現代にかけて紹介する類の本ではない。日本らしい建築とは何か、日本の伝統は近代の建築物においていかに消化され、理解されてきたかを問う本である。そして日本の建築論が常に「日本らしい建築…

競わない地方創生

またもタイトルに釣られて久繁哲之介氏の本を読んでしまった。前に「地域再生の罠」を読んだ時にも、最終的には批判的な感想を持ったのに、同じ愚を繰り返してしまった。もっとも部分的には面白い提案も多いし、基本的な方向性が間違っているわけではない。…