すまい・まちづくりノート

日本の醜さについて

井上章一を私は建築史家と思っている。「京都ぎらい」でブレイクして以降、本人は自分のことをどう考えているのだろう。本書は「小説幻冬」という文藝詩で連載した「結局、日本人とは何なのか?」を改題し加筆修正したものと書かれている。「あとがき」では…

藤森照信の建築探偵放浪記☆

○50年近く建築探偵業を続けていると、自分の関心の傾向が分かってくる。まず、その建築が作られた社会的、文化的、宗教的、歴史的背景への強い関心がある。作った人への興味も深い。/一方、そこに使われている素材、例えば泥とか石とかコンクリートとか、そ…

「都市の正義」が地方を壊す☆

○日本社会の人口減少は、地方のみならず首都圏を含めた国民全体の課題である。そして東京一極集中はこの国の構造そのものだから、首都・東京こそがこの問題の中心的な当事者であるはずだ。/にもかかわらず、国民の多くがこの地方創生をまるで対岸の火事のよ…

縮小まちづくり

米山秀隆と言えば、空き家問題の専門家というイメージがあるが、本書では空き家問題の前提となる都市の縮小・地域の縮小をテーマに、第1章・第2章ではエリアマネジメントやコンパクトシティ政策でいかに都市を縮小していくかを考え、第3章・第4章では縮小す…

地元経済を創りなおす

知人から勧められて読了。地域のお金は地域で回すようにしましょう、というのは、藻谷浩介が「里山資本主義」で述べていたことと同じ。これに、「漏れバケツ理論」や市町村単位の産業連関表、地域経済分析システム、地域内乗数効果とLM3などの理論やツールを…

西洋都市社会史

「西洋都市社会史」という堅いタイトルだが、内容はヨーロッパ、特に北ドイツを中心とした各都市の訪問記である。筆者は中世ハンザ都市の都市史を研究する経済学者。筆者が勤務する中央大学の雑誌「中央評論」に掲載してきたエッセイを中心に、全20章にまと…

次の震災について本当のことを話してみよう

福和先生とは地元で昔から何かとお付き合いがある。講演会でいじられることもあれば、飲み会で同席したこともあった。本書には日頃から色々な機会に聞いてきた話がほとんど網羅的に書かれている。その点では内容的に特に驚くこともない。 第2章の冒頭で、阪…

知られざる地下街

(P019)に「こんなに距離が短い地下街があった」として、「蒲郡北駅前地下街」が紹介されている。(P025)に「全国地下街一覧」が掲載されているが、80ヶ所の地下街のうち、人口10万人以下の市にある地下街はこの「蒲郡北駅前地下街」だけだ。生まれ育った町な…

人口減少時代の都市

「人口減少時代の都市」の後ろには「経営戦略」と補えばいいのだろうか。経済学者から見た成熟型の都市政策の提言。だが、書かれていることにそれほどの意外性はない。むしろこれまで都市計画の研究者が言ってきたことを経済学者の観点から言い直したような…

ニュータウンの社会史☆

○ニュータウンのなかに入り込んでたくさんの経験を積んでいくなかで、「オールドタウン」だとか、高齢化で限界集落間近だとか、犯罪の巣窟だとかいって、一方的に切って捨てる、その視線のありように激しく反発を覚えるようになった。人の生活や営みを、その…

自分にあわせてまちを変えてみる力

饗庭伸の本を読みたくて、本書を借りてみた。ただし、これは饗庭伸の他、薬袋奈美子や秋田典子など大学を異にする6名の研究者の共著。共同で実施した韓国と台湾におけるまちづくり調査の内容をまとめたもの。 ただ、まとめ方はかなり面白い。出だしの「アジ…

都市をたたむ☆

先日聴いた饗庭伸氏の「人口減少時代の都市計画・まちづくり」が非常に面白かったので、本書を購入して読了。都市のスポンジ化とそれに対応した都市計画手法については、先日の講演会でも話された、立川市や鶴岡市の事例も紹介されており、改めてナットク。…

僕らの社会主義☆

國分功一郎はかねてより注目している哲学者であるが、それがコミュニティデザイナーの山崎亮氏と対談する、というのはかなり異色の組み合わせのように感じた。が、読んでみると、確かに國分氏は「来たるべき民主主義」で住民運動を通して、住民自治の問題な…

ヤンキーの虎

先に読んだ「これからの地域再生」の中で藤野氏が書いていた「ヤンキーの虎」に興味が湧いて、本書を読んでみた。うーん、期待ほどには面白くなかった。 「地方は今、筆者が『ヤンキーの虎』と名付けた起業家が現れ、地域経済を引っ張っている」というのだが…

人口減少時代の土地問題

公共事業の土地買収にあたり、土地の所有者が死亡して相続人が多数にわたり、非常に難航するケースがあるという話は聞いていた。高度経済成長に伴い、多くの若者が都会へ出て行き、所有者が死亡した後に放置された山や田畑が多く見られるようになってきた。…

町を住みこなす

大月先生の講演会が先日あった。あいにく参加できなかったが、本書と同じタイトルというので、さっそく読んでみた。大月先生には2015年に講演会があった時にも参加した。その時は「人口減少時代の住宅地運営~住宅地における多様性の獲得」というタイトルで…

これからの地域再生

飯田泰之が編者となった本は、先に「地域再生の失敗学」を読んだ。地域「再生」とは経済的な向上だとはっきりさせることで、わかりやすく地域再生を論じていた。本書では、前著で対談した相手とはまた違う6名の著者による、それぞれの分野における地域再生策…

近代化遺産を歩く

2001年発行だから、もう16年も前の本である。これまでも何度か書店で手に取ったことがあるが、先日ようやく購入した。どうしてこれまで購入しなかったかと思うに多分、もっと土木的な構造物が掲載されていることを期待したからではないか。思った以上に建築…

世界の美しい名建築の図鑑

原題は「THE STORY OF BUILDINGS」。「建物の物語」。この方が内容を的確に表している。確かに精密で美しいイラストがついて、世界の様々な建物の特徴が余すところなく表現されている。それらを見ているだけでも楽しい。外観だけでなく、内部も各所で建物を…

知りたい、歩きたい! 美しい「日本の町並み」

GW前に東北旅行へ行った。その際に旅程の参考にするため、本書を購入。中でも目に付いたのが「出雲崎」。期待通りの妻入りの町並みを見学した。しかし、出雲崎に行って初めてわかったのは、建物自体は意外に新しい、ということ。本書ではそこまでは書かれて…

モダニズム建築紀行 日本の1960~80年代の建築

「モダニズム建築紀行―日本の戦前期・戦後1940~50年代の建築」とセットだが、後巻である本書から読み始めてしまった。1960年から1983年までに建築された46件の建物を紹介する。大阪府建築士会の会報「建築人」に「記憶の建築」として2009年から掲載されたも…

人間の居る場所

3部構成で、第1部が筆者自身の講演がベースとなった都市論、第2部は陣内秀信や山本理顕らとの対談集、そして第3部は三浦氏がプロディースした吉祥寺と福井市浜町でのコミュニティデザイン大賞の顛末とこの章に関わった人々によるコメントなどで構成されてい…

町の未来をこの手でつくる

紫波町のオガールプロジェクトについては、本書を読むまでほとんど知らなかった。筆者の猪谷氏は産経新聞記者を経て、現在はハフィントンポストの記者を務めている。前著「つながる図書館」が好評で、そのつながりとして紫波町立図書館を取材。オガールプロ…

日本語の建築

先に「『建築』で日本を変える」を読んだ。それは伊東豊雄に対するインタビューをまとめて本にしたものだった。本書を購入してから、これも同様にインタビューをまとめたものだということに気が付いた。それで同じようなことが書かれていたらどうしようかと…

ひらかれる建築

2013年に松村先生は二つの本、「箱の産業」と「建築―新しい仕事のかたち」を出している。本書はその続編として、これからの「建築」のあり方、方向を考察したもの。「民主化」をキーワードに、グロピウスなどが、庶民が健康で快適に住むことができる住宅のプ…

空き家の手帖

先日、京都空き家セミナーを聞いた際に本書を購入した。わずか91ページで、活字や行間も大きいQ&Aのページが中心で、その間に5つのコラムと空き家活用事例が6点掲載されている。最初の方のページなどは、見開きで「手遅れになる前に」「活用しましょう。」と…

老いる家 崩れる街

人口減少に伴い、住宅や住宅地が余ってくる、空地や空き家が多く発生してくるということは、社会的に、そして住宅施策においても最重要な課題となっている。しかし本書はこの問題を都市計画の課題として考察し、方策を考えようとするものである。「はじめに…

集合住宅

副題は「20世紀のユートピア」。「まえがき」の副題に「集合住宅にユートピアを求めて」と付いている。単に世界の集合住宅を紹介するのではなく、集合住宅がいかに人々のユートピアを求める活動の一環として実現されてきたかを、ドイツ、オーストリア、オラ…

「ハイテク」な歴史建築

筆者は半導体・物理学の研究者である。一方で根っからの古建築好きのようで、全国の伝統的な建築物を見て回っている。タイトルを見て私は純粋に、伝統的建築物に使われている現代にも通じる技術を解説する本だと思っていた。しかし上述のように筆者は建築の…

タワー

「シリーズ・ニッポン再発見」の中の1冊である。既刊は「マンホール」に「銭湯」、「トイレ」、「橋」。続刊として「包丁」が予定されている。タワーが日本独自の文化ではないし、五重塔など寺社仏閣は含まれていないので、シリーズに入るのはやや違和感があ…