すまい・まちづくりノート

モダニズム崩壊後の建築

先に読んだ「ル・コルビュジエがめざしたもの」の続編。本書では副題「1968年以降の転回と思想」にもあるとおり、1968年以降の現代建築に対する批評などを収録している。本文中にもあるが、現代建築と近代建築の境はどこになるのか。筆者は前書で近代建築、…

今年読んだ「すまい・まちづくり本」ベスト5

今年は都市・建築関係の本を18冊読んだ。例年よりは多め。その中からベスト5を選定してみた。都市の縮退や空き地・空き家等に係る本が多いのが今年の特徴。一般のメディアなどで取り上げられることも多くなってきた。 【第1位】都市をたたむ(饗庭伸 花伝社)…

世界の空き家対策

このところ、米山秀隆氏の空き家対策に関する本を続けて読んできた。日本の空き家問題とその対策を考える一方で、海外ではどうなっているのか、という疑問を持っていたが、さすが米山氏、しっかりと海外事例についても調査し、まとめられている。本書では米…

捨てられる土地と家☆

先に「縮小まちづくり」を読んだが、ほぼ同じ内容を、空き家・空き地の増加という観点から書いたのが本書。第1章「空き家・所有者不明土地の実態」から始まって、第2章「現状の対策」、第3章と第4章で「より根本的な対策①・②」、そして第5章はまとめとしての…

幸せな名建築たち☆

(一社)日本建築学会が編著となっている。会報「建築雑誌」に連載されていた41の住宅・建築物に「聴竹居」を加え、42の住宅・建築物の居住者・所有者・管理者に対するインタビューをまとめたもの。会誌編集委員会の下に、『幸せな名建築たち』小委員会が設置…

ル・コルビュジエがめざしたもの

ル・コルビュジエ論かと思って読み始めたら間違う。あとがきで書いているとおり、モダニズム建築に関連して書かれた多くの論考などを集めたものである。本書に続いて、ポストモダン以降の建築を論じた現代編もすぐに刊行される予定という。いや、もう発行さ…

ほっとかない郊外

泉北ニュータウンで興味深い活動が行われているという話はこれまで何度も聞いてきた。この4月には都市住宅学会中部支部により、NPO法人すまいるセンターの西上代表理事による講演会が開催されたが、都合により出席できなかった。本書は昨年10月に発行された…

日本の醜さについて

井上章一を私は建築史家と思っている。「京都ぎらい」でブレイクして以降、本人は自分のことをどう考えているのだろう。本書は「小説幻冬」という文藝詩で連載した「結局、日本人とは何なのか?」を改題し加筆修正したものと書かれている。「あとがき」では…

藤森照信の建築探偵放浪記☆

○50年近く建築探偵業を続けていると、自分の関心の傾向が分かってくる。まず、その建築が作られた社会的、文化的、宗教的、歴史的背景への強い関心がある。作った人への興味も深い。/一方、そこに使われている素材、例えば泥とか石とかコンクリートとか、そ…

「都市の正義」が地方を壊す☆

○日本社会の人口減少は、地方のみならず首都圏を含めた国民全体の課題である。そして東京一極集中はこの国の構造そのものだから、首都・東京こそがこの問題の中心的な当事者であるはずだ。/にもかかわらず、国民の多くがこの地方創生をまるで対岸の火事のよ…

縮小まちづくり

米山秀隆と言えば、空き家問題の専門家というイメージがあるが、本書では空き家問題の前提となる都市の縮小・地域の縮小をテーマに、第1章・第2章ではエリアマネジメントやコンパクトシティ政策でいかに都市を縮小していくかを考え、第3章・第4章では縮小す…

地元経済を創りなおす

知人から勧められて読了。地域のお金は地域で回すようにしましょう、というのは、藻谷浩介が「里山資本主義」で述べていたことと同じ。これに、「漏れバケツ理論」や市町村単位の産業連関表、地域経済分析システム、地域内乗数効果とLM3などの理論やツールを…

西洋都市社会史

「西洋都市社会史」という堅いタイトルだが、内容はヨーロッパ、特に北ドイツを中心とした各都市の訪問記である。筆者は中世ハンザ都市の都市史を研究する経済学者。筆者が勤務する中央大学の雑誌「中央評論」に掲載してきたエッセイを中心に、全20章にまと…

次の震災について本当のことを話してみよう

福和先生とは地元で昔から何かとお付き合いがある。講演会でいじられることもあれば、飲み会で同席したこともあった。本書には日頃から色々な機会に聞いてきた話がほとんど網羅的に書かれている。その点では内容的に特に驚くこともない。 第2章の冒頭で、阪…

知られざる地下街

(P019)に「こんなに距離が短い地下街があった」として、「蒲郡北駅前地下街」が紹介されている。(P025)に「全国地下街一覧」が掲載されているが、80ヶ所の地下街のうち、人口10万人以下の市にある地下街はこの「蒲郡北駅前地下街」だけだ。生まれ育った町な…

人口減少時代の都市

「人口減少時代の都市」の後ろには「経営戦略」と補えばいいのだろうか。経済学者から見た成熟型の都市政策の提言。だが、書かれていることにそれほどの意外性はない。むしろこれまで都市計画の研究者が言ってきたことを経済学者の観点から言い直したような…

ニュータウンの社会史☆

○ニュータウンのなかに入り込んでたくさんの経験を積んでいくなかで、「オールドタウン」だとか、高齢化で限界集落間近だとか、犯罪の巣窟だとかいって、一方的に切って捨てる、その視線のありように激しく反発を覚えるようになった。人の生活や営みを、その…

自分にあわせてまちを変えてみる力

饗庭伸の本を読みたくて、本書を借りてみた。ただし、これは饗庭伸の他、薬袋奈美子や秋田典子など大学を異にする6名の研究者の共著。共同で実施した韓国と台湾におけるまちづくり調査の内容をまとめたもの。 ただ、まとめ方はかなり面白い。出だしの「アジ…

都市をたたむ☆

先日聴いた饗庭伸氏の「人口減少時代の都市計画・まちづくり」が非常に面白かったので、本書を購入して読了。都市のスポンジ化とそれに対応した都市計画手法については、先日の講演会でも話された、立川市や鶴岡市の事例も紹介されており、改めてナットク。…

僕らの社会主義☆

國分功一郎はかねてより注目している哲学者であるが、それがコミュニティデザイナーの山崎亮氏と対談する、というのはかなり異色の組み合わせのように感じた。が、読んでみると、確かに國分氏は「来たるべき民主主義」で住民運動を通して、住民自治の問題な…

ヤンキーの虎

先に読んだ「これからの地域再生」の中で藤野氏が書いていた「ヤンキーの虎」に興味が湧いて、本書を読んでみた。うーん、期待ほどには面白くなかった。 「地方は今、筆者が『ヤンキーの虎』と名付けた起業家が現れ、地域経済を引っ張っている」というのだが…

人口減少時代の土地問題

公共事業の土地買収にあたり、土地の所有者が死亡して相続人が多数にわたり、非常に難航するケースがあるという話は聞いていた。高度経済成長に伴い、多くの若者が都会へ出て行き、所有者が死亡した後に放置された山や田畑が多く見られるようになってきた。…

町を住みこなす

大月先生の講演会が先日あった。あいにく参加できなかったが、本書と同じタイトルというので、さっそく読んでみた。大月先生には2015年に講演会があった時にも参加した。その時は「人口減少時代の住宅地運営~住宅地における多様性の獲得」というタイトルで…

これからの地域再生

飯田泰之が編者となった本は、先に「地域再生の失敗学」を読んだ。地域「再生」とは経済的な向上だとはっきりさせることで、わかりやすく地域再生を論じていた。本書では、前著で対談した相手とはまた違う6名の著者による、それぞれの分野における地域再生策…

近代化遺産を歩く

2001年発行だから、もう16年も前の本である。これまでも何度か書店で手に取ったことがあるが、先日ようやく購入した。どうしてこれまで購入しなかったかと思うに多分、もっと土木的な構造物が掲載されていることを期待したからではないか。思った以上に建築…

世界の美しい名建築の図鑑

原題は「THE STORY OF BUILDINGS」。「建物の物語」。この方が内容を的確に表している。確かに精密で美しいイラストがついて、世界の様々な建物の特徴が余すところなく表現されている。それらを見ているだけでも楽しい。外観だけでなく、内部も各所で建物を…

知りたい、歩きたい! 美しい「日本の町並み」

GW前に東北旅行へ行った。その際に旅程の参考にするため、本書を購入。中でも目に付いたのが「出雲崎」。期待通りの妻入りの町並みを見学した。しかし、出雲崎に行って初めてわかったのは、建物自体は意外に新しい、ということ。本書ではそこまでは書かれて…

モダニズム建築紀行 日本の1960~80年代の建築

「モダニズム建築紀行―日本の戦前期・戦後1940~50年代の建築」とセットだが、後巻である本書から読み始めてしまった。1960年から1983年までに建築された46件の建物を紹介する。大阪府建築士会の会報「建築人」に「記憶の建築」として2009年から掲載されたも…

人間の居る場所

3部構成で、第1部が筆者自身の講演がベースとなった都市論、第2部は陣内秀信や山本理顕らとの対談集、そして第3部は三浦氏がプロディースした吉祥寺と福井市浜町でのコミュニティデザイン大賞の顛末とこの章に関わった人々によるコメントなどで構成されてい…

町の未来をこの手でつくる

紫波町のオガールプロジェクトについては、本書を読むまでほとんど知らなかった。筆者の猪谷氏は産経新聞記者を経て、現在はハフィントンポストの記者を務めている。前著「つながる図書館」が好評で、そのつながりとして紫波町立図書館を取材。オガールプロ…